自治体が小さくなれば
むしろ自立を妨げる
大阪という都道府県の中で2番目に狭いところに、大阪市と堺市という都道府県並みの権限を持つ2つの政令指定都市があるのがまず不思議だ。
世田谷区の人口は政令市の堺市(人口84万人)に匹敵し、大田区と江戸川区も政令市の相模原市(人口71万人)と肩を並べる。さらに区や市を合併すれば、東京に20以上の政令市ができてもおかしくない。
しかし、こんなことをしたら、東京の力は弱まってしまうだろう。地方分権と言っても、自立できない小さな自治体ばかりを作れば、むしろ権力は中央に集中する。
自治体が小さくなれば、働いて富を作るところと生活して富を使うところが別々の自治体になる。富を作るところの自治体に税収が入らず、富を使うところの自治体に税収が入れば、自治体同士は税収を巡って争うことになる。
自治体は、この調停を中央政府に依頼することになり、中央の権力が強まる。自治体を大きくしておけば、この調停は必要なく、中央政府の力も強まらない。
私は、国が政令指定都市をやたらに作ったのは(現在19市あり、さらに熊本市が4月1日に政令指定都市になることが決まっている)、中央が「分割して統治せよ」の原則に従って地方の力を弱める陰謀だったのではないかと憶測している。
現在の大阪の制度に、ヘンなことはいくらでもある。このヘンなことが、大阪都構想で少なくなるのは間違いない。
ただし、大阪市を現状の24区に分けるのは数が多すぎる。名古屋市が16区だが、これは多い気がする。神戸市が9区だから、大阪市は10区余りで良いのではないだろうか。合区しないとヘンなことを増やすことになるだろう。また、地方議員が多すぎることにもなる。私が大阪都構想について疑念を持つのはこのくらいだ。
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