2024年12月4日(水)

Wedge REPORT

2019年6月27日

価格調整は必要

 しかし、首都圏のマンション価格は上がり過ぎて、6000万円前後の価格水準で買える人は限られている。中古マンションの価格も新築につられて高くなっている。マンションの売れ行きを回復するために井出研究員は「価格の調整が必要ではないか」と指摘する。

 ひとつの可能性として「最近、スーパーゼネコンが東京オリンピック後の仕事の確保を狙ってマンションを手掛けようという動きがある。このゼネコンがある程度価格を抑えたマンションを建設する新たな戦略を打ち出してくれれば、いまより割安なマンションが出てくるかもしれない」と大手ゼネコンがマンション建設に乗り出すことに期待している。

2人でローンのリスク

 数年前から一つの不動産物件を「パワーカップル」と呼ばれる夫婦2人が「ペア・ローン」という住宅ローン商品を利用して共有名義で購入するケースが増えているという。金融緩和で住宅ローン金利も下がったこともあって2人でローンを組んでも金利負担が重くないことと、「ペア・ローン」を利用すると2人ともに住宅ローン控除制度が受けられることでメッリトが高まったことが挙げられる。

 例えば夫が900万円、奥さんが700万円で夫婦合計で1600万円の住宅ローンを組めば、相当額のローン控除があるため、これがマンションの購入を引っ張る刺激剤になってきた。

 しかし、所得が伸びない現状では、2人でローンを組んだことが将来のリスクになる。夫婦どちらかの会社の業績が悪化して収入が減少したりすると、途端に住宅ローンの返済が滞ったりして返済計画が狂ってしまい、バラ色だったマンション生活が一変することになる。井出研究員は「先行きが見通せない世の中になったことで、こうしたローンリスクが以前よりも高まっているのではないか」とみており、住宅ローンはオーバーローンにならないよう注意する必要があると指摘する。


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