未体験の内需低迷
景気の先行きについては「不透明感が強まっている状況では、高額の資金をつぎ込んでまでマンションを買おうという人が少なく、ディフェンシブな姿勢になっている」とみる。数年前までは首都圏中心部の億円以上する高級マンションを買い漁った中国人富裕層も現在は売る側に回っていると見られ、特に湾岸のタワマンの売りが増えているという。
さらに「これまでは景気が落ち込んでも、高い所得層が下がったところで買ってくれたため回復してきたが、これからは、人口が減少し、モノを持たない層が増えているため、景気を回復させる原動力を欠いた状態になっている。このため、これからは今までとは異なる特異性を持った未経験な内需の低迷になるかもしれない」と警戒している。
これまで日本経済は、割と短期間に不況から回復できたが、これからはその回復の原動力となるものが見つけにくい。かつては経済をけん引した団塊の世代も70歳を超える高齢者となり、多少の金融資産はあったとしても、経済を引っ張るほどのパワーは残っていない。
しいて言えば、増加傾向が続くインバウンドの外国人観光客ぐらいだろう。2019年版の観光白書によれば、18年の外国人観光客の日本での消費額は初めて1兆円を超えたという。インバウンドの消費額は着実に増えてはいるが、これだけでは日本経済は維持できない。
人口が減少する時代を迎える中で、安定したマンションの販売を維持するにはどうすべきか、真剣に考えるべき時に来ている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。