2022年12月5日(月)

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2019年8月5日

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山田敏弘 (やまだ・としひろ)

国際ジャーナリスト

講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などを経て、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の客員研究員として国際情勢やサイバー安全保障の研究・取材活動に従事。著書に『世界のスパイから喰いモノにされる日本』(講談社+α新書)など。近著に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)。

5000億個の機器が
危険なデバイスと化す日

 総務省は来年4月から、新たに販売するIoT製品については、メーカー側に不正アクセスへの対策として初期設定のパスワードの変更を促すなどの機能を義務付ける。ただあくまで基本的な対策で、高度化するサイバー攻撃にすべて対処できるわけではない。また古くに製造された機器を使用し続ければ危険性は残り、ユーザーも機器類をすべて調べ買い替えるとも思えない。効果は未知数と言える。

 そしてこの懸念を増幅させる「新時代」が到来する。日本でも20年からサービスがスタートする5G(第5世代移動通信システム)だ。5Gでは、通信速度は現在の4Gと比べて100倍、データ容量は1000倍にもなる。また今と比べものにならないくらいの多接続を可能にし、1平方キロあたり、100万台の機器を接続できる。

 つまり、5Gの環境が整備されることがIoT機器を劇的に増加させる起爆剤となり、近い将来、私たちの身の回りではほとんどのモノがインターネットに接続される時代が来る。米シスコシステムズの予測によれば、30年までに、5000億個のIoT機器がネットワークに繋がれるという。

 問題はIoT機器だけでない。IoTを大量に接続して管理するクラウドやサーバーなども狙われる可能性が高いと指摘されている。アカマイの中西氏は「今、IoTの機器だけではなく、サーバー側へも攻撃が向いている。IoT機器を操作する大本であるサーバーが狙われたら、一気に被害は広がる」と指摘する。

 接続されるデバイスが増えれば、サイバー攻撃のリスクは比例して高まる。これまではPCやスマホにのみあった情報の在処(ありか)も増えることになる。例えば、腕時計や体に装着するIoT機器で健康管理をするケースは、今後さらに増えることになるが、そうした個人の情報が盗まれてしまう可能性もある。すべてが常時接続になると、利用者がインターネットに接続している自覚も乏しくなるし、外部からの攻撃に無頓着にもなりかねない。

 欧州の元政府関係者は「今世界の情報機関は、IoT機器などから情報を拾っている。人の健康状態から経済状況、冷蔵庫の中から毎日のスケジュール、人に言えない秘密まで、すべて集めることができる。そういう情報を工作活動などに生かそうという動きが始まっている」と指摘する。

 また、ネット上では、「SHODAN」などの世界中にあるセキュリティーの乏しいIoT機器を検索できるサービスが存在し、各地に設置されている監視カメラの映像などもチェックすることすらできる。パスワードなどをきちんと管理しておかなければ、容易に自分の家庭内の機器を見られるリスクは既に存在している。

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