2024年12月5日(木)

“熱視線”ラグビーW杯2019の楽しみ方

2019年9月17日

開会式(写真・防衛省)

スポーツを通じた防衛交流

 2011年の第1回の優勝国はイギリス。2015年の第2回はフィジー共和国が優勝を果たした。そして国際軍人ラグビー100年の節目となる今大会は、オーストラリア、フィジー、フランス、ジョージア、ニュージーランド、パプアニューギニア、韓国、トンガ、英国の各国軍隊と日本(陸・海・空の自衛隊による代表選手)が参加している。

 フランス戦に先立つこと9月9日(月)市ヶ谷の防衛省内において開会式が行われた。岩屋毅前防衛相のあいさつのなかに「スポーツを通じた防衛交流を図ることが各国軍の連携につながっていくことを望む」とあった。

 日韓関係が政治、外交、経済の各分野で史上最悪とも言われる冷え込みを見せるなか、韓国からは韓国軍体育部隊が参加している。政治とスポーツは本来切り離さねばならないことだが、こと軍に関係する大会だけに不参加もあるのではないかと不安に思って複数の関係者に話を聞いたところ、「多国間交流の一環ですし、我々は国と国というよりラグビーのチーム同士と捉えていますので何も問題はありません」や「私たちは韓国だけを特別に考えてはいませんし、韓国側も日本を分け隔てなく見ているからこそ参加するのだと思います」という回答である。

 国際防衛ラグビー競技会準備室の若松忠司氏は「本大会は防衛交流を主として行っていますので、この大会をきっかけに参加するすべての国々と良い関係に繋がっていければいいと考えております。ご招待したところ韓国も快くそれに応えてくれました。我々はどこのチームにも満足していていただいて交流を深めていきたいと思っています」と語り、最後に「ノーサイドの精神ですよ」と笑顔を見せた。

 本稿執筆時に勝ち上がっている国は、英国、フランス、ニュージーランド、フィジーの4カ国で9月19日(木)に準決勝が行われ、9月23日(祝・月)に決勝戦が千葉県の柏の葉競技場で開催される予定だ。

 防衛省 大臣官房広報課の熊谷幸親氏は、「本大会はラグビーワールドカップを盛り上げようと防衛省が取り組んでいる競技会ですので大会成功に向けて貢献したいと臨んでいます。ラグビーのノーサイドの精神は試合中に激しく戦っていた者同士が、試合後に互いの健闘を称え合って握手をし、その後、なんのわだかまりを残さないところがいいですね。ラグビーワールドカップや国際防衛ラグビー競技会を通して、こうしたラグビーの良いところを伝えていければと思っています」と大会前に語っていた。

 ラグビーのワールドカップが大々的に喧伝されるなか、粛々と始まった「もうひとつのワールドカップ」の意義は大きい。スポーツは平和の架け橋である。ワールドカップ本戦とは異なるレガシーが残ることを期待したい。

<国際防衛ラグビー協議会2019HP>https://www.mod.go.jp/j/publication/olympic/idrc/special/index.html

ノーサイド (写真・筆者)

  
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