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2019年10月2日

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アメリカのドナルド・トランプ大統領がウクライナ政府に対して、ジョー・バイデン前副大統領の捜査を求めたという疑惑をめぐり、マイク・ポンペオ国務長官は1日、同省高官らが弾劾調査で宣誓証言するのを拒否する考えを示した。

弾劾調査を進める米下院外交委員会は、ウクライナ疑惑に関する「直接的な情報を知っている」国務省高官ら5人に対し、宣誓証言を要請する書簡を送付している。

証言要請は「脅し」

ポンペオ氏はツイッターで、下院外交委員長のエリオット・エンゲル氏からの要請は、「国務省職員を脅し、いじめて、不適切に扱う試みにしか思えない」と述べ、要請を拒否する考えを示した。

「私は、こうした戦術は容認しない。私が誇りを持って率いる、献身的な職員たちを脅そうとするいかなる試みも阻止し、暴くため、私はあらゆる手段を使うだろう」

一方エンゲル氏らは、「ポンペオ氏は、自分自身と大統領を守るために国務省高官らを脅すことを、ただちにやめるべきだ」と述べた。

宣誓証言を求められているのは、マリー・ヨヴァノヴィッチ元駐ウクライナ大使や、カート・ヴォルカー・ウクライナ特使、ジョージ・ケント国務次官補代理、ウルリッチ・ブレックブル国務省参事官、ゴードン・ソンドランド駐欧州連合(EU)大使。

「証言を強制」

ポンペオ氏は、エンゲル氏から要請を受けたことにより、外交委員会の権限について、疑問が生じたと述べた。召喚状なしに「こうした書簡のみで宣誓証言への出席を強制」するのは問題だとしている。

また、エンゲル氏は高官ら5人や国務省に十分な準備時間を与えていないと非難した。

ポンペオ氏は、ホワイトハウスの「部外秘である可能性のある、外交関係の行為に関連する情報保護のための、紛れもなく正当な憲法上の利益」について、外交委員会は判断を回避しようとしているようにみえると述べた。

「弾劾調査妨害」の可能性も

これに対し、エンゲル氏、アダム・シフ下院情報委員長、 下院監視・政府改革委員会のイライジャ・カミングス委員長は、連名の書簡で、「宣誓証言の要請に従わないのは違法であり、弾劾調査妨害の証拠になる」と警告した。

「ポンペオ氏は、自分自身と大統領を守るために国務省高官らを脅すことを、ただちにやめるべきだ」

下院民主党はすでに27日に、ポンペオ長官に証拠提出の召喚状を送っている。

ウクライナ大統領に圧力

トランプ氏は今年7月、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対して、来年の大統領選で民主党候補になる可能性が有力視されているジョー・バイデン前米副大統領とその息子について、汚職疑惑で捜査するよう電話で要請した。トランプ氏はゼレンスキー氏に、バイデン親子捜査についてウィリアム・バー米司法長官やジュリアーニ弁護士と連携するよう求めていた。

米大統領が政敵についての捜査を外国政府に要請した電話の内容に、「深刻な懸念」を抱いた情報機関の内部告発者が、情報機関監察総監に懸念を伝えた。この際の書簡と上下両院に宛てた書簡のほか、後にホワイトハウスが公表した部分的な通話記録から、このことが明らかになった。内部告発者は中央情報局(CIA)の職員だと、複数の米メディアが報じている。

先月30日には、ポンペオ氏が、ウクライナ大統領と電話会談中のトランプ大統領と同席していたことが明らかになった。

弾劾手続きとは

合衆国憲法第2条第4節は、「大統領並びに副大統領、文官は国家反逆罪をはじめ収賄、重犯罪や軽罪により弾劾訴追され有罪判決が下れば、解任される」と規定している。

弾劾訴追権は下院が、弾劾裁判権は上院がそれぞれ持つ。

現在、米連邦議会の下院は民主党が多数派だが、上院は与党・共和党が多数を占めている。そのため、弾劾決議案が下院で可決されても、上院での弾劾裁判がトランプ氏を実際に弾劾する可能性はほぼない。

過去の大統領で弾劾されたのは、アンドリュー・ジョンソン氏とビル・クリントン氏のみ。

リチャード・ニクソン氏は弾劾される可能性が高まったため、直前に辞任した。

(英語記事 Pompeo accuses Democrats of impeachment 'bullying'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/49902311

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