2024年12月3日(火)

プーチンのロシア

2024年1月5日

 ロシアのRIAノーヴォスチ通信は暮れに、2023年のロシア経済十大ニュースを発表した。それを整理すると、以下のとおりとなる。

1. 経済の崩壊ではなく成長が生じた

2. 記録的な失業率の低さ(それと裏表の人手不足)

3. 物価沈静化に奔走も年末には卵が高騰

4. ガソリン不足

5. 為替安定のため対策に追われる

6. 過去最大の財政歳出

7. 冶金・化学の大企業中心に超過利潤税を課税

8. 富豪YouTuberの課税逃れに対する取締強化

9. 石油輸出国機構(OPEC)+の枠組みでの石油減産続く

10. 対露制裁拡大、ロシアは友好国との連携強化

 トップの項目にあるとおり、無謀なウクライナ侵攻を続け、国際的な制裁包囲網を敷かれながら、23年もロシア経済が崩壊することはなかった。23年に国内総生産(GDP)が3%前後のプラス成長を記録することは、確実視されている。プーチン大統領に至っては3.5%成長という見通しまで示している。

(Andrey Mitrofanov/gettyimages)

 「プーチンの言うことは信用できない」という読者のために、コンセンサス予測というものを紹介しておこう。これは、ロシアの「発展センター」というシンクタンクが、内外の専門家を対象に主要経済指標の見通しに関するアンケート調査を実施し、それを平均して定期的に発表しているものなので、一定の信憑性がある。

 表に見るのは、最新の11月2~14日の調査結果であり、これによれば23年の成長率は2.6%となっている。24年以降も、1%台半ばと決して高くはないものの、一応はプラスの成長が続くという見通しである。

 ロシア経済に関する最近の論評を眺めていると、しばしば目にするのが、「経済の過熱」という言葉である。むろん、そこにはさまざまなひずみが潜んでいるにしても、今のロシア経済が「不況」から程遠いことだけは、認識しておくべきだろう。


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