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2019年10月28日

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被災企業3分の1が廃業、縮小する地域経済

 港湾事業は好調だが、地域経済への波及効果は限定的で、街の縮小に歯止めをかけるには至っていない。釜石市の人口は年々減少を続け、震災直前の4万人から約3万3000人へと2割近く減った。また全事業所数も震災前と比べ4分の3に落ち込んだ。特に震災で半壊以上の被害を受けた約1000事業者のうち、6割が再建を果たしたものの、3分の1以上が廃業した。

 「震災で取引先を失ったり、商店がつぶれ消費者が市外に流出したままになったりしている。地域内循環の経済を復活させ、それを大きくしていきたい」と釜石商工会議所の佐々隆裕専務理事は地域経済の課題をあげる。

 しかし、「圧倒的多数を占める小規模事業者の経営基盤が脆弱になっており、持続化補助金をもらいながら自力をつけるしかない。新規事業が大事だという理想論はわかるが、既存の事業自体が厳しくなる中、カモメのように必死に足をかきながら事業の形を確保することが先決だ」と長期的なビジョンなど描けないのが実情だという。

 また、苦労して再建を果たしても、全国的な問題でもある後継者不足や人手不足により事業の持続性が危ぶまれているケースも多いという。

 市の中心部は、14年にオープンしたイオンを「街の集客拠点」に据え、市民ホールや商業施設、飲食店街を周辺に集約することで、活性化を図ってきた。W杯のファンゾーンもこのエリアに設置され、賑わいをみせていた。

W杯のファンゾーンとなった市民ホール

 宅地は高台やかさ上げされた土地に造成され、空き地はかなり目立つものの、徐々に移転が進んでいる。またピーク時には2845戸あった仮設住宅の入居戸数も、今年度末には23戸まで減少する見込みだ。

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