待ったなしとなった日本企業のグローバル化を進めるうえで、最大のネックは「経営のグローバル化」だろう。事業を国際展開している企業は多いが、経営をグローバル企業並みに国際化した日本企業はごく一部だ。
ドイツでは95年前後に猛烈な勢いで大企業の経営のグローバル化が進んだ。銀行を中心とした株式持ち合いが崩れ、株主が国際化した時期と重なっていた。自動車大手のダイムラー・ベンツ(現ダイムラー)やヘキスト(現サノフィ・アベンティス)が社内公用語を英語にしたのもこの頃だ。
取締役会が多国籍となったことで、その後の国境を越えた合従連衡に進み、巨大グローバル企業へと成長していった。日本の大企業もようやく当時のドイツ企業と似た位置にたどり着いたと言えよう。
経営のグローバル化が進めば、円高を生かしたアジア企業のM&A(合併・買収)などが容易になり、日本企業のグローバル化が進むに違いない。
昨年来、日本企業の不祥事が相次ぎ、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の不備が繰り返し指摘された。その反省に立って取締役の過半数を社外から選ぶ企業も出始めている。だが、それでは不十分だろう。複数の国籍の外国人が社外取締役として加わるようになれば、日本企業のグローバル化が一気に進むことは間違いない。
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