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2020年3月21日

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ロサンゼルス中心部にある貧困地区「スキッド・ロウ」では食料の配給がはじまっている(AP/AFLO)

 コロナウィルス感染拡大が止まらないアメリカで、操業を停止した自動車メーカーの工場が医療用機器の生産に乗り出す可能性が浮上している。米ビッグ3と呼ばれるGM、フォード、フィアット・クライスラーは工場での陽性患者出現などの影響もあり、3月31日まで全米の工場を一時閉鎖することを18日に発表した。ホンダ、トヨタ、日産などの日本メーカーもこれに準じる工場閉鎖を発表している。

 一方、死者数が中国をも上回ったイタリアで最も深刻な問題とされているのが医療崩壊だ。特に人工呼吸器が不足しており、現場ではより若い人、回復する可能性のある人に呼吸器を提供する、という命の選別をせざるを得ない事態だという。

 これはアメリカでも同様で、各州政府などは感染症に対応している病院や人工呼吸器などの整備の整った病院を確保することに躍起になっている。しかしカリフォルニア州のニューソム知事はホテルの州政府による強制借り上げの可能性、またニューヨーク州のクオモ知事は休校となった大学の学生寮の使用も念頭に入れるほど、陽性患者の隔離場所の不足は深刻だ。さらに今後重症患者が増えれば、人工呼吸器その他の医療機器の不足により失われる命も増えるだろう。

 そこで、全米の工場閉鎖を発表したばかりの自動車メーカー側が政府と交渉し、「人工呼吸器などの医療機器の生産という形で協力したい」と申し出たのだという。GMのメアリー・バラ会長はトランプ大統領に対し、人工呼吸器などの医療デバイスを工場で生産する可能性について社内でリサーチを行っている、と報告した。

第二次大戦中は戦闘機も生産

 車と人工呼吸器といえば随分異なるように思えるが、自動車メーカーとしては生産する場所は確保できるし、プラスチック、金属、電子製品についての知識もある。今がウィルスとの戦時中、という認識で全社を挙げて政府に協力する体制を整える、というのだ。

 例えば第二次世界大戦中に米国の自動車メーカーはジープなどの軍用車、戦車、B24戦闘機などを生産していた。つまり車を作る技術は他の軍事用品、今回の場合は医療機器に応用することは可能なのだ。

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