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2020年3月19日

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ロサンゼルス市内(REUTERS/AFLO)

 米国の感染拡大が止まらない。3月18日現在の感染者数は前日より大幅に増えて7900人を超え、死亡者数も140人を上回った。米政府はこの感染拡大の原因として「無症状の感染者が周囲にウィルスを撒き散らしている」状況を挙げている。

 しかし、全員に検査をすべきか、という議論があるのは米国も日本と同じ。もし希望者全員に検査を行い、その結果大量の陽性患者が発覚した場合、医療崩壊が起きる。各州政府は隔離病棟などのある病院をオンライン化し、利用可能状況をオンタイムで把握する、などの策を勧めてはいるものの、もしすべての州でニューヨークやカリフォルニアなみの感染が明らかになれば、病床不足は深刻、また医療従事者の人員不足と負担も問題となる。

CDCが独自開発キットにこだわっている

 米国の検査状況は驚くほど日本と似通っている。各地で症状を訴えながらもコロナウィルス検査を拒否された、と訴える声が上がっている。これに答える形でペンス副大統領が「医師が必要と判断した患者に対し、無条件にテストを行う」と発表した。しかしCDCによるガイドラインは「テストを行うのは陽性患者との濃厚接触者」であり、それが現場にも反映されており、疑わしい患者に対し速やかに検査を行えないのが実情だという。

 そもそも検査キットが不足している。この原因とされるのが、CDCが独自開発キットにこだわっているため、という報道もある。WHOは現在世界各国に検査キットを配布しているが、米国はこれを受け取っていない。またWHOとCDCの間に正式な会談などはないという。

 CDCはそもそも、1月17日の段階で独自の検査キット開発を発表。テストが開始され、早くも2月5日には全国の検査機関にキットを配布する、と宣言した。しかし配布された機関からキットの不備が指摘されるなど、現場は混乱。国の機関であるHHS(アメリカ合衆国保険福祉省)がCDCの検査キットの不備について調査を行う、という事態にも発展した。

 結局FDA(米食品医薬局)が認可した民間の検査キットも普及し、3月1日の時点では全国の検査機関にキットが行き渡った、とされるが、その実数については明らかにされていない。つまり独立機関であるCDCが独自の検査キットに拘ったこと、国の機関であるHHS、FDAが検査キットの承認についてバラバラの見解を持っていたことが、キットの普及を遅らせたことになる。

 国の対応も後手に回っている。現在はペンス副大統領がウィルス対策の特命に指名され、徐々に体制は整いつつある。しかしそれ以前のトランプ大統領の言動には疑問がつきまとう。大統領はまず「我が国の対応は万全であり、4月頃には騒動は収束する」という根拠のない宣言を行った。その後専門家を集めた対策会議の席上では「なぜ数ヶ月以内にワクチンが作れないのか」など、専門家を驚かせる質問を続けた、という。

 つまり「偉大な国アメリカにできないことはない」という慢心、アジアから欧州に広がっても米国では比較的感染者が少なかった、という事実から、実効的な対応が遅れた。また検査キットに関しても「CDCは世界をリードする専門機関であり、WHOが提供する検査キットよりも優れたものが自国で開発できるため、WHOなどのキットは必要ない」と判断されたことが、全国的なキット不足と検査の遅れにつながり、そこで無症状感染者による拡大が起きた、と見られている。

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