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2020年3月5日

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日本の入国拒否も検討

 「新型肺炎を引き起こすコロナウィルスは民主党によるデタラメ」とまで発言、世界中を巻き込む騒ぎを「たいしたことではない、4月ごろまでには収束する」と楽観的な姿勢を崩さなかった米トランプ大統領。さすがに国内でも3月3日現在で108人の感染者と9人の死亡が確認されたことで、日本を含めた入国禁止措置の拡大などを真剣に検討し始めた。

3日、国立衛生局を訪問したトランプ大統領(AP/AFLO)

 しかし、当初から新型肺炎への対応を巡っては、政権とCDC(米疾病予防センター)との間の温度差が指摘されていた。日本でのクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスからの米国人帰国のためのチャーター便でも、CDCが強く反対したにもかかわらず国務省が感染が認められた14人を陰性だった人々と同じ飛行機で帰国させた。これについては大統領は「事前に聞かされていなかった」と大激怒した、と報じられたが、国務省側のチームにはホワイトハウスの保健衛生担当も含まれていた。

 本来国が一致団結して対応に当たるべきだが、CDCという政権から独立した機関と政権の一部であるFDA(米食品医薬品局)との縄張り争いのような騒動も聞かれるようになった。検査キットやワクチン開発について、どちらが主導権を持つのか、各州政府はどちらの指示に従えば良いのか、混乱が広がっているという。

 例えば3月に入り、2月末に行われる予定だったCDCとFDAの専門家との会議でFDA側が「CDCに拒否され、一晩待たされた」と語っている、という事実が報道された。米POLITICOのインターネット版によると、FDAの治験、放射線治療などの専門家であるティモシー・ステンゼル氏は2月22日にCDCを訪れたがセンター内への入所許可が得られず、FDA上層部が何度も要請した結果ようやく翌日にCDCへの入所が認められた、という。

 これに対しCDC側の広報では「スケジュールの誤解から生じたもの。FDAの担当者が到着したのは22日の午後7時ごろであり、CDCでは会合はその翌日と認識していた。セキュリティの観点からアポイントメントのない部外者のセンター内立ち入りは原則禁止されている」という釈明のコメント。結局23日には会合は無事に行われたというが、こうした小さな齟齬が起きているのは事実のようだ。

 しかし、CDCでは2月の時点で新型肺炎ウィルスの検査について、まるで日本の厚生労働省のような厳しい基準を定めていた。中国に滞在していた人、あるいは陽性と認められた人と濃厚接触者に限り検査を行う、としていた。最近になってようやく検査対象の拡大に乗り出したが、初動の遅れが米国内にウィルスの感染拡大を招いた、という批判は免れない。

 例えば、33人の感染者が判明しているカリフォルニア州では、主にアジアからの入国者や他州から移動してきた人8400人を経過観察対象とし、全員への検査を希望していた。しかし同州内には検査キットが200しかなく、同州のニューサム知事はCDCに対し迅速な検査体制への協力を要請していた。

 また米国内の死亡者が集中しているワシントン州によると、ごく初期に感染が認められた人と最近の死亡者から採取したウィルスのDNAがほぼ同一だったことから、「州内では少なくとも6週間ウィルス感染が進んでいた可能性がある」という。つまり無症状の感染者がウィルスを広めた結果、同州内でのクラスター感染につながった、という見方だ。

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