検査数を増やすことへのジレンマ
3月17日の時点で米国内で行われた検査数は1万1000件あまりで、例えば韓国の23万件と比較すると遥かに少ない。これは日本でも同様だが、検査が少ないことにより見かけの感染者数も実際より遥かに少ないのでは、という疑問が生じている。一方でペンス副大統領が推進する「疑わしきは全員検査」体制になれば、医療崩壊が起こる可能性がある。
また国の中に複数の検査キットが存在することにより、検査結果が出るのに早いもので24時間、遅いものでは4日、と差があることも現場からは「受け入れがたい」という批判が出ている。一刻も早い検査キットの統一、しかも結果が出るスピードが早いものが全国の検査機関に普及することが第一だが、現時点でそれが実現するのがいつになるのかは不明だ。
国としてはまず医療従事者、緊急車両隊員全員への検査を行うことを目標としている。業務の中でウィルスとの接触が考えられるためだが、なんの症状もない人には検査が行われていない現状があり、こうした人々の中に無症状の感染者がいれば連鎖的に感染が拡大する危険性がある。ただしこれを行って相当数の感染者が判明すれば、医療機関や救急の現場が閉鎖となり、混乱がさらに広がる可能性もあり、政府はこのジレンマに悩まされている。
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