From LA

2020年3月17日

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 トランプ大統領が唐突に国家非常事態を宣言し、欧州すべてからの渡航を禁止した米国。世界に先駆けて中国全土からの渡航を禁止し、最初のうちは非常に楽観的だったが、今や日本を上回るペースで陽性の判断が増えており、パニックが全土に広がっている。

 しかし、現場での対応は非常にちぐはぐだ。筆者は3月10日に東京からロサンゼルスへ渡航したのだが、羽田空港のアメリカン航空の搭乗、到着後のロサンゼルス空港での入国審査、双方ともに体温の検温もなく、「過去14日間に中国に渡航歴があるか」を聞かれただけだった。ロサンゼルス空港では入国審査と手荷物検査は行われたが、検疫官らしき人物と接触することもなく、空港内の職員もマスク着用は半分くらい。

 その空港では筆者が到着したのと同じ日にイランからの帰国者など2名の陽性反応が出ており、空港検疫官や空港警察の警察官からも陽性反応が出た。今や空港は巨大なクラスターとなる可能性もあるが、毎日のようにここから人が飛び立ち、到着している。

 トランプ大統領は患者数の多いワシントン、カリフォルニア、ニューヨーク州への他州からの立ち入り禁止も視野に入れている、とも語ったが、経済規模の大きなカリフォルニアとニューヨークを封鎖することになれば、米国経済は相当に悪化することも予想される。

3月15日、品物不足が目立つロサンゼルスのスーパー(REUTERS/AFLO)

 カリフォルニア州の現状は、物資不足の一言に尽きる。スーパーマーケットの棚は空になっているところが多く、特にトイレットペーパー、ティッシュ、缶詰、冷凍食品などの棚には何も残っていないところも多い。赤ちゃん用のお尻ふきがない、と困っている母親も見かけた。

 新鮮野菜はあるが、ジャガイモ、タマネギなど、日持ちする野菜が全くないスーパーもあった。また比較的物資の多いスーパーはレジに長蛇の列が出来ており、カートに大量に食料品や日用品を積んだ人々が行列している。

 一方でアジア人だから、と差別的な目で見られることはない。空港からのタクシーでも特に嫌な顔をせずに乗せてくれたし、スーパーでは手で持てるほどの買い物しかしていなかった筆者に対し、「それだけしか買わないならお先にどうぞ」と前の家族が譲ってくれた。この家族は一家4人総出で2台のカートに大量の物を乗せていたが、いわく「普通の1週間分の買い物。ただし普通なら週末にまとめ買いをするが、週末まで待っていると物がなくなる可能性があるので今日買い物に来た」ということだった。

 3月15日現在、米国の感染者数は3774人、死者は69人。俳優トム・ハンクス夫妻、カナダのトルドー首相の妻など、著名人の感染も報告されている。トランプ大統領は会見したブラジル高官の感染が明らかになり、ついに検査を受けたが陰性だった、と発表。しかし連日感染者数の増加が報告され、歯止めがかからない状態だ。

 米国では各自治体首長が独自に非常事態を宣言するため、毎日のようにどこかの州、どこかの市による非常事態宣言報道が続いていた。国家非常事態宣言が出されたことで一応落ち着くのかもしれないが、非常事態宣言により何が変わるのかは自治体に委ねられている。

 カリフォルニア、特にロサンゼルスの例を挙げると、テニスの国際大会インディアンウェルズが中止になったほか、州内のバーを閉鎖、レストランでも大人数での会食は禁止など、様々な措置が連日のように発表されている。学校を閉鎖する自治体も増えてきた。

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