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From LA

2020年3月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

もっとも頭を痛めているのが、感染者の隔離施設の不足

 そのカリフォルニアが現在もっとも頭を痛めているのが、感染者の隔離施設の不足だ。同州ではクルーズ船グランド・プリンセスでの集団感染が話題となったが、現在すべての乗客の下船が完了している。ただし州内の乗客は空軍基地への隔離となったが、国外の乗客を退去させるまでどこに滞在させるのかなど、問題は続いている。空軍基地にしてもほぼ満員でこれ以上の隔離は行えない。

 同州のニューソム知事は「隔離患者のためにホテル接収」を可能にする法案を発表。陽性だが無症状、あるいは非常に病状の軽い人々を隔離するために、ホテルを州が強制的に借り上げるというものだ。また65歳以上あるいは糖尿病、心疾患などの基礎疾患のある人々に対し、基本的に自宅で自己隔離を行うよう要請もしている。

 しかしカリフォルニアにとってもっとも重要なのがホームレスに対する対処だ。同州には少なくとも5万人以上のホームレスが存在し、うち3万人以上がロサンゼルスやその周辺で路上生活を送っている。

武漢の臨時病院さながらのホームレス用住宅

 これらの人々は「感染症に対しもっとも危険度が高い」とされており、ロサンゼルス市は急遽ホームレス用住宅の手配を行っている。その内容は大きな体育館のような建物にベッドがずらりと並んだ、まるで武漢の臨時病院のようなもので、人権団体からは反発の声もある。とにかく雨風がしのげて食事がきちんと取れる場所、というだけのものだが、このような施設でさえまだ全員を収容するには足りない。ホームレスの間に感染が広がれば感染者数はあっという間に万単位になりかねないため、市にとっては大きな問題となっている。

 一般市民の生活は物資不足を除けば今のところ安定している。しかし一流大学として知られるカリフォルニア工科大の学生にも感染者が出るなど、どこにどのような形でウィルスが潜んでいるのかわからない現状、そして企業活動、物流の低下によるさらなる物資不足や経済の停滞が待ち受けており、不安が募っている。「まるで第三次世界大戦が来たみたいだ」とつぶやく人がいたが、それほどの日常の危機が間近に感じられるのが現状だ。

  
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