2024年11月22日(金)

中年留学日記

2012年5月23日


クリムゾンの編集方針はハーバードに関する情報を多くのハーバード関係者に伝えるというのを大目標と掲げているが、大手通信社とも契約して大学に関連するような一般ニュースも掲載している。クリムゾンは自前の輪転機を4台、事務所の地下に備えており、毎日、新聞をそこで印刷している。

 大きなニュースがあるときには最終締切を朝の4時まで延ばせるというから驚きだ。時には号外も出す。2006年に当時のローレンス・サマーズ学長が失言問題などで引責辞任した際には一面にサマーズ氏の大きな写真を掲載した号外を出した。その現物がオフィスの建物の中に額に入れて掲示してあった。まさにプロ顔負けの本格的な新聞社といえる。

ハーバードクリムゾンのオフィスで原稿執筆などの編集作業を行う学生記者たち

 オンライン版も充実している。ニュース素材は紙の新聞と同じものを使うことが多いが、紙面に収容できない詳しい情報についてもネットでは紹介できるため、紙の新聞に比べて情報量は多いという。ページの更新頻度を高めて、最新ニュースを提供しているのも特徴だ。オンライン版は卒業生やハーバードに入学を希望する国内外の学生の閲読率も高いため、そうした読者層を意識した構成も心がけているという。

 両親のスキャンダルで騒がれた薄瓜瓜氏が4月下旬にクリムゾンにメッセージを寄せ、これを「特ダネ」として報じた際の経緯を聞いてみたところ、以前から瓜瓜氏に接触を試みていたクリムゾンの記者に本人から連絡があったという。

薄瓜瓜氏が接触してきた意図は?

 記者による直接の面会はできなかったものの、電話の会話やメールのやり取りで瓜瓜と名乗る人物が本人であることが確認できたため、メッセージの掲載に踏み切ったという。瓜瓜氏の動向はプロの大手メディアも関心を持って追いかけていただけに、ハーバードに関する情報はどこにも負けずに報道するというクリムゾンのまさに面目躍如といったところだ。

 最近の新しい試みとしては、東部の名門大学の学生新聞との連携だ。東部アイビーリーグ(ハーバードを含む主要8大学)の他の7校と連携して、記事の相互提供を始めた結果、他大学の記事もクリムゾンで読むことができようになった。こうしたプロジェクトを通じて他大学との交流も一段と深まっているという。

 筆者がオフィスを訪れた際も学生記者が原稿を書いたり、記事の修正作業を行ったりしていた。編集長のジュリーさんは「ハーバードには様々な部門に多くの学生が在籍しているが、そうした幅広い読者の役に立つような新聞づくりをこれからも続けてゆきたい」と話してくれた。

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