これらの市や町の可住地面積に対するA区域の面積の比を見ると、概ね10%以下である。すなわち、10%の土地を放棄して、残りの90%の土地に移住する必要がある。人口が増加している地域であれば大変なことであるが、これらの地域の人口は減少している。
もちろん、地域によって事情は異なるだろうが、全壊の住宅と居住世帯のない住宅の戸数は平均的にはあまり変わらない。居住世帯のいない住宅だからと言ってすぐに住める訳ではないが、これは十分な宅地があることを示している。宅地だけでなく、田畑を宅地に転用すれば、さらに多くの土地があるだろう。
もちろん、絶対に安全な高台に住みたい人はいるだろう。しかし、差額の2000万円で港、加工場、関連施設、船、漁具、上物の住宅を補助してくれるならこちらが良いという人が多いのではないか。政府がお金の使い方を決めないで、コミュニティの人々に使い方を決めさせる自由を与えれば、ほとんどの人々がこちらを選ぶのではないか。地域の自立とは、地域の人々の自己決定権を拡大することだ。
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