安保激変

2012年6月15日

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小谷哲男 (こたに・てつお)

日本国際問題研究所 主任研究員

1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。

日本の立場の表明を

 日本もこれを機に海洋の自由について考え直すべきではないだろうか。日本政府は、EEZにおける外国軍の活動に関する解釈をこれまで明確にしてこなかった。その活動を規制すべきでないという意見と、何らかの規制を課すべきという意見が政府内で拮抗しているからである。さらに、日本の学者の中にはむしろ中国の法律戦を援護しようとするものが多い。

 日本のある研究機関は、05年に各国の専門家を招いて他国のEEZにおける軍事活動を大きく制限するガイドラインを作成した。その柱は、軍事活動を「平和目的」に限定するということである。沿岸国の安全を脅かし得る情報収集も認めていない。しかし、アメリカが平時から中国のEEZで軍事情報を収集しておかなければ、有事に日米同盟は機能しない。残念なことに、このガイドラインは国連に参考文書として提出され、アジア各国では日本が主導したガイドラインとして有名になってしまった。アメリカ海軍大学では、法律戦の例としてこのガイドラインが教材となっている。

 日本の国益を考えれば、EEZにおける外国軍の活動は規制すべきではない。もちろん、日本のEEZで中国軍が自由に活動することは気持ちのいいものではない。しかし、規制を認めてしまうとアメリカも日本も中国のEEZで軍事活動ができなくなってしまう。ダブルスタンダードは許されないのである。中国の法律戦に荷担しないためにも、日本政府は早急にその立場を明確にするべきであろう。

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