2024年12月7日(土)

Wedge REPORT

2020年8月11日

今年は子どもにとってチャンス

 ペルセウス座流星群の弱点は、夜の22時頃以降しか流れないことだ。通常、花火大会が行われるような時間帯には、ペルセウス座は日本ではまだ地平線の下で、流星物質は日本からすれば地球の裏側に衝突して光っていて日本からは見えないのである。

 だから「流星を見たい」という小さな子どもに、空が暗くなった20時頃から一生懸命観測させてはいけない。1時間程してもあまりにも流れないので、つまらなくなってしまうだろう。

 この日ばかりは、少しの夜更かしが必要だ。子どもたちには、観測は21時過ぎから始めて、せめて0時前頃まで頑張ってみてほしい。

 今年は、特に、極大時刻(最も流星の出現数が多くなる時刻)が、夜の22時頃となっている。これはチャンスだ。4年に一度、閏(うるう)年が設定されているように、地球の一年は完全に365日ではないので、地球がスイフト・タットル彗星の軌道の線路を渡る瞬間は毎年微妙にずれる。なので、極大時間が、明け方の4時頃だったり、日本からは観測できないお昼間の時間帯だったりすることもあるが、今年は日本時間で22時頃がピークなのである。チャンスだ。

 もちろん、この時間帯はまだ、ペルセウス座が東の地平線近くの低いところにあるので、日本から見ることができる流星数は、ペルセウス座が天頂付近の高いところにある場合と比べて少なくなる。ただ、今年は、例年の22時よりは、間違いなく多くなるということだ。

 一方で、22時頃に流れる流星は、地平線近くから飛び出すので、夜空にものすごく長い軌跡を描くことがある。筆者が過去に見た流星でもっとも奇跡が長かった流星は、まさにペルセウス座流星群の極大日の22時頃の流星だった。東の空から西の空に向けて、ものすごく長い軌跡だった。

 もう一つ、観測の条件で大事なのが「月」だ。満月が出ていたりすると、夜空が明るくなって流星は見えにくくなってしまう。今年の場合は、下弦の月(満月が終わりだんだんと欠けていく途中の半月)だ。半月なので、ペルセウス座流星群を紹介している天気予報などの番組では、「月の条件はあまり良いとは言えない」という専門家の話が報道されているが、これは朝まで観測するつもりのマニアの言葉であり、下弦の月は0時近くまで昇ってこないので21時過ぎから0時前までの間は、月はないのである。つまりピーク時は月あかりに邪魔されないのである。

 最後に最も重要な条件は、天気だ。曇ってしまったら見えないが、今年は、天気予報がまずまずなので、天気予報でもペルセウス座流星群のことがときどき取り上げられている。

 もし、曇ってダメだった場合は、毎年、8月13日頃にペルセウス座流星群が来ることを覚えておいてほしい。


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