2022年12月6日(火)

Wedge REPORT

2020年8月11日

»著者プロフィール

身近な天文学をもっと身近に

 大阪で高校教員を長年勤めて、毎年、教室で「流れ星を見たことがある人」に手を挙げてもらったら、数人しか挙がらない。都会では流れ星を見たことがある子どもは、まだまだほとんどいない。同様に「天の川」を見た子もほとんどいない。

 夏休みの部活の合宿や修学旅行などで、夜に高校生と一緒に外に出て天の川を見ながら、「天の川は私たちが属する銀河円盤が伸びている面の断面図だ」と手ぶりを交えて話したり、天の川の両側にあるベガ(織姫)やアルタイル(彦星)など、星座の解説を色々したりするような時には、必ず、その途中で流れ星が流れて「あっ」という大きな声があがる。つまり、天の川が見えるようなきれいな星空ならば、一年中、流れ星は流れているのだ。こういう流星群とは関係のない流れ星は「散在流星」という。

 一方で、流星群は、圧倒的に数が多い。毎年8月13日前後の夜に花火大会を見に行くように観測に行くと決めておくのがよい。

 流星以外にも、夜の22時頃には、まだ、夏の大三角形が出ていて、織姫や彦星の話もできる。一晩観測していると、ペルセウス座の近くの、アンドロメダ座にあるアンドロメダ銀河や、おうし座のプレヤデス星団(すばる)を肉眼で見るのも楽しい。視力も少しはよくなるだろう。今年は特に、木星、土星、火星、という明るい惑星もたくさん見える。火星はたしかに赤いし、明るい惑星は完全な点ではないので「瞬かない」という見え方の違いも教えてあげられる。夜明け前には「明けの明星」とよばれる金星や、冬の星座の代表のオリオン座も昇ってくる。地球の自転が実感できる。

 夏の大三角形や惑星は、晴れていれば都会でもきれいに見える。

 筆者は、長年、高校の地学教員をしてきたが、学生時代は、天文学研究室で流星の研究をしていた。卒論のテーマは、「ジャコビニ・ジンナー彗星から放出された流星物質の母彗星周辺分布と流星群の出現」だった。松任谷由美(ユーミン)の「ジャコビニに彗星の日」という歌にもあるように、「1972年10月9日に日本上空に流れ星が雨のように降る、と言われていたのに、なぜ流れなかったのか」という研究だった。

 その後、2001年11月19日の早朝3時頃から夜明けまで、大阪の高校の屋上で、1時間あたりに流れ星が何千個、もしかしたら何万個と流れる様子を目の当たりにすることになった。これは「しし座流星群」だが、毎年流れるわけではない。

 毎年必ず一時間あたりに数十個流れる三大流星群と、毎年流れるわけではないが、時々、雨のように流れる流星群との違いについては、また、機会があれば書きたい。

 筆者は毎年、高校の地学の授業で、流星、彗星、日食、月食などの授業に時間を割いてきた。しかし、高校の地学の教科書でさえ、これらの話はほとんど載っていない。

 小学校、中学校の理科の教科書や、高校の地学の教科書に、もっと、肉眼で見ることができるこのような身近な天文学の話を載せて行くべきだと思っている。目の前の宇宙に触れて、視野を広げていってほしい。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る