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2020年8月11日

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花火大会の代わりに流星群を

イメージ写真(wisanuboonrawd/gettyimages)

 今年は夏のイベントである花火大会がほとんど中止だ。花火大会も悪くはないが、もっと、流星群が有名になれば、と昔から思っていた。

 今年は、例年、花火大会に子供を連れて行っていた代わりに、ぜひ、子どもたちにペルセウス座流星群を見に連れて行ってあげてほしい。花火大会と同じで、望遠鏡も双眼鏡も要らない。肉眼で寝転がるだけでいい。

 また、後述するように、今年は特に小さな子どもたちにとって条件が良く、チャンスなのだ。

 流星群というイベントが起こる日は、花火大会と同様に、毎年、概ね決まっている。特に、出現数の多い三大流星群は、8月13日頃のペルセウス座流星群、12月14日頃の双子座流星群、1月4日頃のしぶんぎ座流星群だ。

 しかし、12月や1月は、寒くて防寒対策がたいへんだ。だから、子どもに流れ星を見せるなら、ペルセウス座流星群が一番いい。

 花火大会は、主催者が毎年、同じ頃に日を設定するが、なぜ流星群は毎年、同じ日に出現するのか。実は、地球は1年で太陽の周りを一周するから、毎年、同じ日には、宇宙空間の同じ地点を通過していることになる。去年の8月13日に地球がいた場所に、今年の8月13日に地球はまた戻ってくる、というわけだ。

 そして、この、地球が毎年8月13日に通過する地点が、実は、地球の軌道とスイフト・タットル彗星の軌道との交差点になっているのである。

 要するに、公転によって、1年かけて同じところをくるくる回っている地球は、毎年、8月13日にスイフト・タットル彗星の軌道、つまり線路の踏切を渡ることになるのだ。

 そのとき、電車(彗星本体)は通っていないので、彗星本体と衝突することはないが、実は、その線路上には、彗星本体がまき散らした砂粒程度のチリが多数飛んでいて、それが地球にぶつかってくるのである。それが地球の大気との摩擦で燃え尽きるときに光を放つ。それが流星なのだ。

そもそも流星とは何か

 もう少し詳しく、彗星と流星について書いておこう。

 彗星(Comet)というのは、ほとんどが直径数kmの汚れた雪玉のようなものと言われている。富士山やエベレストなど、大きな山一つが宇宙空間を飛んでいるようなものだ。この彗星の内の一つが地球に衝突して恐竜が絶滅したというものでもあり、ハレー彗星などが有名であるが、きれいな尾を引く「ほうき星」という側面もある。

 紙幅の都合でその起源についてなどには言及できないが、彗星の本質が「汚れた雪玉」なので、太陽に近づくたびに解けて崩壊していき、直径数ミリ程度のチリをまき散らす。だから、その軌道上にはチリが多く存在している。このチリは砂粒程度の小ささだけれども、速度は、もともとの母彗星(ボスイセイ:ペルセウス座流星群の場合はスイフト・タットル彗星)とほとんど一緒であり、秒速数十キロメートルという速さだ。これは、弾丸をもはるかに超える高速である。

 だから、真空の宇宙から地球の大気に突入した際には、まだ大気が薄い高度120kmくらいから大気との摩擦で励起状態になり、高度70kmほどで燃え尽きる。その間のプラズマ状態のときのエネルギーの放出が流星という発光現象だ。

 つまり、流れ星は、実際は、飛行機が飛んでいる高度10kmの10倍くらいのかなりの上空ではあるが、地球の大気中で光っている大気現象ともいえる。しかし、その砂粒たち(流星物質は)はるか昔から宇宙に存在し、太陽の周りを何周も回って地球に衝突してきた宇宙の物質なのである。

 ではなぜ、スイフト・タットル彗星から飛び出した流星物質たちがたくさん地球にぶつかってくる現象に「ペルセウス座流星群」という名前がついているのか。それは、その流星物質たちは軌道(線路)上をみな同じ方向に平行に飛んでいるので、地球から見ると、全ての流星物質が宇宙空間の同じ方向から飛んでくるように見えることになる。その方向が、ペルセウス座という星座(W型で有名なカシオペア座の横)がある方向なのでそういう名前がついている。

 だから、ペルセウス座流星群は、ペルセウス座の中のある一点(放射点とよぶ)から四方八方に飛び出すように流れる。それはちょうど、冬に雪がしんしんと降る日に、天頂を見上げたら、自分が天頂に吸い込まれていくように、上から下に平行に降る雪たちが、天頂の一点を中心にして四方八方に放射状に降っているように見えるのと同じだ。

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