弱くなった中国は、近代化された軍事力に支えられ、対外的活動に出る可能性がある、ということに注意を要する。それによって、ナショナリズムを煽り、国内の怒りを他に転嫁しようと試みるかもしれない。そうなれば、中国はさらに国際的に孤立することになるだろう、と論じています。
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この論説は、簡にして要を得ており、今日の中国の状況は、おおよそこのようなものと思われます。そして、次の指導層にとって、前途は極めて多難であることが暗示されています。
天安門事件以来のこの20年余りの間、中国は政治的自由を犠牲にして経済成長一辺倒の道を走ってきましたが、そのツケが回ってきたという状況でしょう。その間の目覚ましい経済成長や軍事力の増大は、同時に他国に例を見ないほどの格差と腐敗を生み出す、著しく歪んだものとなっています。
次の指導者たちが、はたして現在の状況からソフトランディングして、より自由で安定的な社会に移行することが可能か、あるいは、オースリンの言うように、大衆弾圧を繰り返すことになるのか、さらには、統治の求心力を求めて、ナショナリズムを煽り、対外冒険主義に走ることはないのか――これらは、今後の体制移行に関する、とりあえずの注目点となるでしょう。
今日の中国の治安維持能力から見て、近い将来、都市住民と農村住民が全国的に手を組むような事態は考えにくいですが、5年から10年という中長期的観点から見れば、次の指導層が如何なる政策を取るかによって、共産党支配を根幹から脅かす事態も起こりうる、と見るのは常識的な見通しと言えるでしょう。
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