そもそも、最近の経緯から言えば、“百年の遺恨”論が中国の公式態度となったのは、天安門事件以来です。それまでの中国インテリ層の要求は、自由民主化でした。それを弾圧した後、江沢民ら共産党指導部が始めたキャンペーンが「台湾解放、百年の屈辱を晴らせ」で、それは、大成功しました。天安門事件後2、3年して釈放された民主運動家が昔の仲間に自由民主運動を呼びかけても、今や国権回復の時代だと言われて、何の反応もなく挫折し、その多くは、米国や日本に亡命して細々と運動を続けているに過ぎない状況です。
ここから、今後の対中大戦略が考えられます。中国に対しては、自由、人権、透明性を正面に掲げれば、優位を保つことが出来ます。米国の対中政策論の中には、人権問題を第一に掲げるべきだ、という論がありますが、これは単なる米国の伝統に基づくステレオタイプではなく、中国に対する大戦略としての一つの正攻法とも言えるでしょう。
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