2024年5月3日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年10月11日

 現状では、アジアの情勢は我々に不利に動いているようだ。しかし、米国など西側諸国は経済が回復し、一党独裁の中国の方が遅れることもあり得る。米国の戦略的課題は、それまでの不確定な時期をいかに乗り切るかだ。

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 中国に宥和的な論文を多く載せる傾向のあったフォーリン・アフェアーズ誌が、この号では、堂々たるタカ派的論文を掲載している点が、まずは注目されます。

 フリードバーグの所説には、現実主義者の面目躍如たるものがあります。ここ数年間、米国衰退論が花盛りでしたが、彼は、欧米諸国はいずれ経済が回復すると予想し(これは景気循環論から言えば当然のことでしょう)、かえって中国の一党支配体制の方が行き詰るだろうという判断を示し、そして、むしろその過渡期において米国が政策を誤らないことの必要性を説いています。

 また、戦争になった場合、中国が対外貿易を遮断される可能性を説いていることも、米国の論者の中では珍しいケースです。しかし、実際のところ、それこそが中国の安全保障上の弱点だと思われます。

 もし米中戦争となると、中国の輸出産業は閉鎖され、大量の失業者が出て、社会不安を醸し出す惧れがあります。また、石油の備蓄がいまだ少なく、いずれにしても数カ月継戦出来るかどうか疑問です。かつては、中国は、対日戦争時でも、中ソ対立時代でも、持久戦では無敵を誇っていましたが、今や、情勢は全く変わっていると判断してよいでしょう。

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