日本にとって台湾は
普遍的価値共有する友人
国際的な関心を集めているもう一つの問題が、不公正な貿易慣行だ。「フリーダム・ワイン(編集部注・中国の制裁によって輸出ができなくなった豪州産ワインを、友好国が率先して購入することで支援する運動)という言葉を生んだ豪州産ワインに対する制裁に続いて、中国は3月1日から台湾産パイナップルの輸入も禁止すると発表した。害虫が検出されたというのがその理由だが、中国向けのパイナップルの99.97%は品質検査で合格していた。
ありがたいことに、日本の消費者がすぐに台湾への支援を表明し、多くの台湾産パイナップルを即座に注文してくれた。日本のスーパーマーケットで台湾産パイナップルが売り切れ、棚が空っぽになった様子を写した写真は、台湾人の心を温かくした。また近年よく見られる、不公平な貿易体制を緩和するために志を同じくするパートナーが協力できることを示している。
日本と米国が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の構築を提唱するなか、台湾は政治的・経済的・戦略地政学的に重要なパートナーとして、民主主義的価値観や共通利益だけでなく、インド太平洋地域の将来に関するビジョンも共有している。日本の20年度版外交青書では、「台湾は、日本にとって、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人である」と表現されている。
台湾が民主主義国として存続することは、この地域のステークホルダーにとって確実に利益となる。常に圧力を受けてきたために、台湾の人々は自らを守る意思と決意を常に世界に示してきた。また、この地域の責任あるステークホルダーとして、台湾には、志を同じくするパートナーと協力して、自由で開かれたアジア太平洋地域の維持に一層貢献する準備ができており、またその意思もある。
新政権のもと、日米同盟が力強いスタートを切るなか、台湾は日米両国にとって信頼できる有能で自然なパートナーとして役割を果たす準備ができている。そして一緒に力を合わせることによって、インド太平洋とそのほかの地域においても、共通のビジョンを達成できると期待している。
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■押し寄せる中国の脅威 危機は海からやってくる
Introduction 「アジアの地中海」が中国の海洋進出を読み解くカギ
Part 1 台湾は日米と共に民主主義の礎を築く
Part 2 海警法施行は通過点に過ぎない 中国の真の狙いを見抜け
Column 「北斗」利用で脅威増す海上民兵
Part 3 台湾統一 中国は本気 だから日本よ、目を覚ませ!
Part 4 〖座談会〗 最も危険な台湾と尖閣 準備なき危機管理では戦えない
Part 5 インド太平洋重視の欧州 日本は受け身やめ積極関与を
Part 6 南シナ海で対立するフィリピン 対中・対米観は複雑
Part 7 中国の狙うマラッカ海峡進出 その野心に対抗する術を持て
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