2022年9月28日(水)

中国はいま某国で

2012年12月11日

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谷口智彦 (たにぐち・ともひこ)

慶應義塾大学大学院SDM研究科教授(前内閣官房参与)

2013年1月から安倍晋三首相退任まで、同首相の外交政策演説を起案。2005〜08年、外務省外務副報道官。先立つ約20年『日経ビジネス』記者。元ロンドン外国プレス協会会長。東京大学法学部卒。1957年、香川県生まれ。

エストニア、チリ
アルゼンチンでも

 1億3000万ユーロ(約135億円)という、バルトの国としては巨額の投資を中国から受け入れるのはエストニアだ。12年の9月7日、約束の書面が交わされた。事業主体など未詳だが、バイオマス燃料となる木質ペレットや、風力発電設備の製造事業が同国で始まる。投資主体は吉林省政府お抱え投資ファンドの吉林省新能源投資有限公司(能源=エネルギー)。吉林省自体も関与し、資金源にはここでも国家開発銀行の名が現れる。地方政府版“国富ファンド”の動きとして特筆される。中国側幹部への資金還流などいかにもありそうではある。

 南米ではチリで、世界有数の太陽光発電事業者となった上海の天華陽光控股(スカイ・ソーラー・ホールディングス)が国家開発銀行と組み、300メガワットの発電能力をもつメガソーラーを造る。投資額は9億ドル。12年6月、温家宝首相のチリ訪問に合わせて成約文書を取り交わした。

 アルゼンチンでは南部チューブ州の土地4万5000ヘクタールに、中国製風車がやがて林立する。発電量は風力で中南米最大となる1350メガワット。これには国家開発銀行が30億ドル以上の巨額を出すことが決まった。12年7月、アルゼンチン側事業主体Geassa社の上級副社長が計画を明かした。風車供給元は中国ゴールドウィンド(金風科技)社だと目されている。

 債務不履行を経験したアルゼンチンの信用リスクは高すぎて、西側金融機関からの資金調達は事実上できない。「だから中国から資金を借りた」のだと、その副社長は語ったという。

[連載]中国はいま某国で
[特集] 習近平と中国 そして今後の日中関係は?

◆WEDGE2012年12月号より

 

 

 

 

 

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