2024年4月26日(金)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2013年1月4日

線引きの意味をなくす

 飛行機で入国するときと違い、陸路で国境を通過すると、荷物検査や通関手続きで、外交的な緊張を感じる国は今でも少なくはない。例えば、中央アジアの国境では大体において時間がかかる。キルギスからウズベキスタンに入るときや、グルジアからアゼルバイジャンに入るときには緊張感が走る。ルワンダから、国連軍が常駐している内戦状態のコンゴ民主共和国への入国は世界で最も危険なケースだといえる。

 国境というのは、その国の性格や政治経済状態が見えてくるから面白い。和やかな雰囲気で通過することのできるシンガポールとマレーシアの国境からは、イスカンダル計画で共存共栄を図りたいという意図が強く伝わってくる。

 そもそも、国境とは、政治、経済、文化、宗教などの違いから為政者が勝手に決めて地上に線を引いただけのことだ。昔の遊牧民たちには国境の概念がなかった。インターネットで国境を越えてつながる時代になっているのに、物理的な移動を阻害する国境だけがいつまでも残るとは考えにくい。人類は、いずれ地球の上で一つの共同体になると信じたいものだ。

◆WEDGE2013年1月号より

 

 

 

 

 

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