2024年12月22日(日)

WEDGE REPORT

2012年12月21日

 この厄介な地域情勢のせいで、日本は日米同盟への依存度を強めることになった。2011年の東日本大震災後の救援活動での作戦協力は、大きな信頼と相互運用性を際立たせた。もっとも、改善の余地がある分野は多々あり、実際に今後改善もなされるだろう。だが同盟内には、解決されないまま残る問題がある。

 普天間から米海兵隊を移転させる計画は今や17年目に入り、今なお地元の反対で実行に移せずにいる。日本国内には沖縄以外に現実的な代替地がなく、日米同盟は地域の抑止力の理由から、米軍兵士の現存数を日本国内に残す必要があると明言している。総選挙後に予想される政権交代は、もしかしたら持続的な解決策を生む助けになるかもしれない。

軍事の関心
両国は似ている

 現時点では日米安保条約の関係は明らかに強固であり、米国の外交政策の中心に東アジアを据えるというオバマ政権による最近の発言は地域内諸国で大歓迎されたが、日本政府内には言葉にされていない不安がある。米国は将来孤立主義に訴えかねず、日本が自前のリソースに頼るしかなくなるという不安だ。

 こうした不安が、近年、新たなパートナーづくりへと日本を動かした根底にある動機だ。

 地域安保をどれだけ重視しようとも、日本はより広範な国際安保問題を無視できない。福島での原発事故後、安全性に関連して原発が停止され化石燃料への依存度が高まったことで、中東からにせよ、その他地域からにせよ、海路での燃料供給に対する日本の依存度も高まった。

 ほかに選択肢がないため、日本はイランによる潜在的な核兵器開発などの問題で立場を明確にし、国際制裁に加わることを余儀なくされ、その結果、国際舞台でより重要なプレーヤーになっている。さらに言えば、日本は国連安全保障理事会の常任理事国になるという希望をまだ捨てていない。そして、常任理事国は国際的な安定に積極的に貢献する必要があるという暗黙の了解がある。

 以上に比べると、英国が直面している安保上の課題など一見日本に比しはるかに目立たないものだ。侵略と核戦争の可能性が最優先課題だった冷戦時代の40年間が終わり、英国を直接巻き込む衝突が生じる可能性は後退した。近年重点が置かれているのは、バルカン半島や西アフリカなどの紛争地域での安定回復への貢献や、中東地域全般およびアフガニスタンにおける世界的テロの潜在的根源への対処だった。


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