2024年12月22日(日)

WEDGE REPORT

2012年12月21日

 運用上の協力の可能性がどうであれ、最近の合意で最も注目すべき部分は、「防衛装備品の共同開発および共同生産」に対する約束と、「できる限り早く何かプログラムを開始し、両国の安全保障と平和的意図にも資する将来の大規模プログラムの実現可能性を探る」計画だ。

 この合意は、11年12月に、1976年以降あらゆる武器の輸出を禁じてきた武器輸出三原則を日本政府が緩和した文脈の中で捉えるべきだ。政策変更の一義的な動機は、将来の協力関係だと明言されている。

 日本の防衛産業は今も高い能力を保っており、日本の軍艦と陸上車両は日本独自のやり方で設計・生産されているものの、生産条件の緩和は今後も防衛産業の基盤を圧迫し、個々の国特有の技術を開発する力を制限し、諸外国と技術を共有する必要性を高めるだろう。

 日本の債務残高を考えると、防衛予算の着実な減少傾向は今後も続く可能性が高く、日本は共同プロジェクトを将来の能力増強を維持する方法と見なすかもしれない。

 同時に、日本の国防物資調達市場は英国や欧州諸国、米国のそれと大きく異なる。情報の安全や競争、保護、知的財産権の利用、法的責任などの問題に関する規則は、日本とその他諸国とも大きく異なる。米国を含め、相手がどんな国であれ、日本が本気で共同プロジェクトを始めようとするのであれば、かなり大幅な規制改革を検討する必要がある。

 この分野で日本がどれほど早く前進できるか、また、防衛企業がいかに早く、こうした協調こそが能力増強とさらなる繁栄への道だということを理解するかは、まだ分からない。

 日英両国は同じように、大陸の端に位置する島国で、外国からの資源供給を海路に依存している。米国とは同じように緊密な同盟関係を持ち、軍事的な相互運用性を維持する必要がある。国防予算も同程度の額だが、次第に公共支出に占める割合は制約されるようになっている。防衛産業の規模は米国よりかなり小さい─。

 こうした諸々の事情を考えると、日本と英国が防衛産業の相互協力から恩恵を受ける可能性は大きい。実際、実り多き協調の可能性はかなり大きいように思える。

*英語版はこちら
 

◆WEDGE2013年1月号より

 

 

 

 

 

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