2024年4月20日(土)

復活のキーワード

2013年2月18日

 中小企業の現場では「女性が戦力」は当然の事になっている。健康食品通販の「やずや」(本社福岡市)は、社員の7割、管理職の半分が女性だ。「商品紹介や電話応対などの細やかさは女性が圧倒的」と矢頭徹社長は言う。せっかくの戦力である、経験を積んだ女性社員が出産を機に会社を辞めていくのは惜しいと、数年前に社内に託児所を設けた。育児と仕事を両立するための時間短縮勤務も認めている。ちなみに3人いる取締役は、創業者で母の矢頭美世子会長と女性常務。3分の2が女性ということになる。

300万×2が標準家庭の収入形態に

 所得構造の変化も女性の社会進出を待ったなしにしている。年収300万円以下の若者が増えているが、「夫婦それぞれが300万円、合わせて600万円を稼ぐのがこれからの標準になっていかざるを得ない」とローソンの新浪剛史社長は見る。そのために女性が働けるインフラ整備を急ぐ必要がある、と語る。

 幼稚園と保育園を統合する「幼保一体化」を民主党政権は掲げたが、文部科学省と厚生労働省の縄張り争いや、それぞれの族議員の抵抗もあり、前へ進まなかった。今後、自民党がこうした政策をどこまで実現できるかが、「にぃまる・さんまる」の成否を握る。

 大企業の経営者の多くは、まだまだ女を“特別視”する旧来の風潮に縛られている。「役員にしたくても、適切な人材がいない」としばしば耳にする。だが、現実は「適切」かどうかの基準を「男の視点」で縛っている例が多い。

 女性の管理職が劇的に増えれば、会社の仕事の仕方も変わる。サービス残業や無駄な会議は減り、効率化が進むだろう。日本企業にとって最大の問題になっている収益率の低下にも歯止めがかかるかもしれない。「仕事への情熱」や「男のロマン」といった情緒的な志向が、日本企業の経営の非効率さを許してきたと見ることもできる。その点、女性経営者の方が、冷静で合理的なように思う。「女性力」を発揮できる体制の整備が、日本経済再生の大きなきっかけになることは十分にあり得るのだ。新政権が腰を据えて「女性力の発揮」に取り組むかどうか、注目したい。

◆WEDGE2013年2月号より

 

 

 

 

 

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