2022年12月9日(金)

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2022年1月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 オーシャンは初めてテスラモデルYの航続距離を超えた車でもある。1充電あたりの航続距離は630キロだ。これだけのスピードでこの航続距離を達成したメーカーは他にない。

「オーシャン」

 大企業は製造過程に時間がかかるため、発売したときにはすでに技術そのものが古くなっている可能性がある。オーシャンは今年11月に発売予定だが、昨年にすべての技術を決定したため1年の遅れで最新技術を提供できる。

 そしてもちろんデザインにおいて、オーシャンは他のどんな車とも異なる個性を持つ。私はオーシャンのデザインが最高だと思うが、それは主観的なものだとしても、他社よりも早く新しい技術を市場に提供できる自信はある。

これからのモビリティの中心はソフトウェア

――なぜフィスカーの開発速度は速いのか。

 普通の自動車メーカーならば経理、マーケティングなどに時間を要するが、私の会社は私がすべての意思決定を行う。どんな車よりもクールな車を作ろうと考え、このプロポーション、ホイールサイズなどを決めた。他社よりもデザイン面の自由度が高いのだ。

――フィスカーは一時期全固体電池を自社で開発する、としていたが?

 その考えは捨てた。数年間リサーチを行ったが、実現は難しいと考えたためだ。全固体電池については多くの企業が開発に取り組み、完成間近だと発表している。しかしこの技術は9割まで完成させるのは比較的簡単だが、残りの1割が非常に困難で、私の考えでは実現までにあと5~7年はかかるだろう。それでは遅すぎる。

 これまで大企業が多くの資本を使って開発を試み、それでもまだ完成していない技術ならば、別の新しい技術を考えたほうが効率的だと私は思う。しかし大企業は投下した資本を回収したいがためにそれに固執してしまうのではないか、と考えている。

―― 今回フィスカーはマグナと共同開発したEVのプラットホームを発表しているが、昨年にはフォックスコンとの提携も発表した。今後オーシャンに続くモデルをフォックスコンと共同開発する考えがあるのか?

 別のモデルというよりも全く新しいモビリティのコンセプトを考えている。自動車業界にとって革命的になりそうなものだ。フォックスコンはそれを創り出すのに最適のパートナーだ。モビリティという考えを根底から覆し、最早普通の車、とは呼べないようなものになるだろう。

 例えばそれはトランクやハッチを持たず、ハードウェアをいかに低コストに抑えるかを考えたものになるかもしれない。つまりこれからのモビリティの中心はソフトウェアであり、ソフトウェアこそが利益を生み出すものだ、ということが明確になるだろう。ただしその場合でもデザインが優れている、ということは欠かせない要素となるが。

 ローコストで見た目の良いデザインを作るには、新たなサプライチェーンが必要となる。フォックスコンは我々が目指すものを達成する助けになるだろうし、またスケールアップによりグローバル市場に乗り出すことを可能にしてくれる、と考えている。

 我々はすでにオハイオ州に工場を購入しており、2025年にはフォックスコンの協力もあって完全自動運転を実現できるだろう。

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