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2022年1月17日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 電気自動車(EV)メーカー・フィスカーは、元アストン・マーチンのデザイナーだったヘンリク・フィスカー氏が2007年に立ち上げ、「カルマ」というラグジュアリースポーツEVを発表して話題になった企業。09年には当時のオバマ政権が推進していた「アドバンスド・テクノロジー・ビークル・マニュファクチャリング・ローン・プログラム」というEV開発に向けた政府融資を、テスラを超える5億2870万ドルも受けたが、その後経営が破綻。フィスカー氏は同社を去り、13年には中国の万向集団傘下の企業にわずか1億4900万ドルで売却された。

 その後、フィスカー氏が自分の名前を商標登録していたため同社はフィスカーを名乗ることができず、カルマ・オートモティブとして再出発、フィスカー氏も、新生フィスカー社をロサンゼルスで立ち上げたという経緯がある。

 今年からSUV「オーシャン」の量産を開始するフィスカー氏に、米ラスベガスで開催されたCES2022でインタビューした。

CESのフィスカー・ブース(撮影・筆者、以下同)

―― フィスカー社はファブレス(自社で生産せず委託生産を行うメーカー)EVメーカーという立場を取っているが、ファブレスにすることのメリットとデメリットは?

 ファブレスであることの最大のメリットは、必要な資金へのアクセスが容易だ、ということだ。実績のある企業が製造を請け負うことで、車は確実に市場に出る、と投資家を納得させることが出来る。

 自動車産業というのは資金への依存度が高いが、われわれは比較的容易に10億ドル以上を集めることができた。過去を振り返っても、以前のフィスカー・オートモティブを含め、テスラが始めたように自社で製造を行おうと考えると常に資金繰りに苦しみ、生産工程の遅れも生じていた。今は発売に向けてフルスピードで動くことができている。

 フィスカー・オーシャンは企画から市販モデルの完成まで2年半だった。通常の車は開発に4年はかかる。

ヘンリック・フィスカー略歴 1963年デンマーク生まれ。BMW Z8、アストンマーチンDB9などのデザイナーとして知られ、2007年にフィスカー・オートモティブを立ち上げた。同社はカルマという世界初のプラグインハイブリッドカーで知られ、そのデザインが評価されたが、2013年に経営難のため同社は中国企業に買収された。2016年新たにフィスカー社を立ち上げ、リサイクル素材を多用したEVのSUV車両、オーシャンを開発。今年11月から発売に乗り出す

―― CESでソニーが自社で車の発売に向けて動く、と発表した。ソニーとフィスカーは同じマグナ社に製造を依頼しているが、どのように差異をつけていくのか。

 コンピュータや携帯を作るのは車を作るよりずっと簡単だ。車を発売するためにはクラッシュテストや耐久性、安全性などさまざまなことをクリアしなければならない。

 われわれの車が他社のものと異なっている点は、例えばオーシャンは世界で初めてデジタル・レーダーを搭載した。コックピットに設置されているモニターは180度回転し、ドライビングモードのときは縦、停車中はシアターモードで横向きになる。また「カリフォルニア・モード」と呼ばれる、リアウィンドウを含めすべての窓が開く仕様もある。

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