2024年4月20日(土)

WEDGE REPORT

2013年2月21日

対米自動車摩擦でノーと言った日本

 GATTからWTOへと国際貿易体制がアップグレードされる中、日本が積極的に貢献した分野の1つが紛争処理メカニズムの強化だった。

 これはアメリカが「通商法スーパー301条」という一方的で攻撃的な通商規定を適用して、アメリカが「不公正貿易国」と認定した国に制裁をちらつかせながら改善を迫るという手法を抑え込むことにその主眼があった。

 WTOが発効した95年当時起きていた「日米自動車・自動車部品摩擦」において、アメリカ側は日本に一定金額のアメリカ産自動車や部品の購入を迫り、その数値目標を達成できない時は、日本側に制裁措置を発動すると脅かしてきた。橋本龍太郎通産大臣(当時)は断固としてアメリカの要求を拒否し、もしアメリカ側が日本車の輸入制限などの制裁措置に訴えるなら、ウルグアイ・ラウンドで強化されたWTOの紛争処理に提訴すると応じたのだ。

 この時以来、アメリカはスーパー301条を対日通商問題で適用していない。たとえ相手がアメリカでも、場合によってはWTOの紛争処理手続きを使うとの明確なシグナルが功を奏したのだ。GATTでは「後続」だった日本が、WTOで「原加盟国」となり、ルール策定に積極的に参加したことが日本の断固たる態度に繋がっている。

 TPP交渉も同様である。交渉にできるだけ早い段階から参加して、日本の考え方を協定に盛り込み、協定の発効時から「原加盟国」とならなければGATTの時と同じ「苦労」をすることになる。日本は一刻も早くTPP「交渉参加」を宣言すべきだ。

[特集] なぜ、TPPに参加すべきか?

◆WEDGE2013年3月号より

 

 

 

 

 

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