2024年4月23日(火)

佐藤忠男の映画人国記

2013年5月14日

『るろうに剣心 DVD通常版』発売中 
税込価格:2980円
発売元:アミューズソフト
販売元:アミューズソフト
©和月伸宏/集英社
©2012 「るろうに剣心」製作委員会

 監督の相米慎二(1948-2001年)も盛岡市の出身だ。すごい長回しの独特の演出をしたが、私は彼の「魚影の群れ」(1983年)を日本映画史上の名作のひとつに数えたい。下北のまぐろ漁師たちの話だ。私は彼とたまたまイギリスで一緒にシンポジウムに出たことがあるが、話をやたらはぐらかされて閉口したことがある。ふざけているわけではなく、理屈より直感とひらめきで仕事をするタイプなのだということが分かっていっそう愉快で楽しかった。なつかしい男のひとりである。

 大友啓史監督も盛岡市の出身である。昨年のヒット作「るろうに剣心」はアクロバットのような飛躍したチャンバラに新味があった。

 俳優の村上弘明が陸前高田市出身。以前のNHK大河ドラマ『秀吉』の明智光秀が評判だった。今年のNHK大河ドラマでは松平春嶽。いずれも気位の高さが必要な役である。

 宇佐美淳(1910-80年)は戦後に主に大映東京撮影所でたくさんの作品に主演していた。それらの作品の多くが忘れられても、1本、松竹大船撮影所で小津安二郎監督作品「晩春」に地味な脇役として出演したことで忘れられない存在になった。口数少ない温厚な若手の学者の役である。そのひかえめなところがじつにいいのである。 (次回は宮崎県)

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