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BBC News

2022年7月28日

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ウクライナ当局は27日、ロシアによる侵攻の影響で国内に滞留する大量の穀物を輸出するため、黒海に面する3カ所の港で作業が始まったと明らかにした。世界的な食糧危機につながっているウクライナの穀物滞留については、国連とトルコの仲介を受けてウクライナとロシアの合意が成立しているものの、ロシア軍が主要港オデーサを砲撃したことから、合意内容の実施が危ぶまれている。

オデーサ州行政当局のセルヒイ・ブラトチュク氏は、黒海に面するオデーサ、チョルノモルスク、ピウデンニーの3カ所の港から穀物を安全に輸出できるよう、海軍チームが「緑の回廊」となるルートを設けると説明。この輸送ルートを確立した上で、ウクライナ海軍艦艇が先導する船団が黒海を航行することになると話した。

ブラトチュク氏はロシアによる攻撃の懸念はあるものの、ウクライナは合意を履行し、義務を果たすつもりだと述べ、軍と民間の専門家が「水中の異物を慎重に捜索し、航行の安全を助ける特別な航行装置を設置する」と話した。

他方、穀物輸出合意を仲介したトルコのフルシ・アカル国防相は同日、合意内容に基づき、イスタンブールに調整センターを設置した。国連とトルコ、ロシア、ウクライナの代表が、船の安全な航行など合意の履行を監視する。

「このセンターで働くスタッフは、世界の注目が集まっていることを承知している」とアカル国防相は報道陣に述べ、「このセンターが人道の要請と平和に最大限の貢献をするよう願っている」と話した。

国防相は、世界の小麦供給の約3割がウクライナとロシアから提供されていることにも触れた。

ウクライナには現在、輸出用の穀物約2000万トンが滞留しているとされる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、今年の収穫が終わればこれは7500万トンに増える恐れがあると警告している。


他方、27日午前にはロシアのアンドレイ・ルデンコ外務次官が、ロシアの農産物輸出の障壁が取り除かれなければ、合意の実施は破綻(はたん)すると警告した。インタファクス通信が伝えた。

合意翌日の攻撃

ロシア軍による黒海封鎖でウクライナに滞留していた数百万トンの穀物輸出について、22日に交わされた合意の主な内容は、次の通り。

  • 農産物を載せた貨物船が航行中は、ロシア軍は黒海に面したウクライナの港を攻撃しない
  • 機雷が敷設された水域では、ウクライナ艦艇が貨物船の安全航行を誘導する
  • 密輸に対するロシアの懸念に対応するため、トルコは国連の支援を受けて貨物船を検査する
  • 黒海からのロシア産穀物や肥料の輸出も可能にする

交渉成立まで2カ月かかったこの合意は、120日間有効。双方が合意すれば、合意は延長される。

しかし、合意成立の翌日にロシア軍がオデーサ港に停泊するウクライナ海軍艦をねらってミサイル攻撃したため、合意の実施はいきなり混乱状態に陥った。


ウクライナのゼレンスキー大統領は、オデーサへの攻撃を受けて、ロシアはあらゆる手を使って合意を履行しないつもりだと証明したと批判。攻撃はあからさまに「野蛮」な行為で、ロシア政府が合意を守るとは信用できないことの表れだと強調した。

南部へルソンの激戦続く

南部へルソンでは、ウクライナ軍がロシアから占領地を奪還しようと、激しい戦闘を繰り広げている。

占領下のヘルソン市でロシアが設置した行政府は、ドニプロ川の渡河に重要なアントニフスキー橋がウクライナの砲撃で大きく破損し、封鎖を余儀なくされたことを認めた。

ゼレンスキー大統領の上級顧問、アントン・ゲラシュチェンコ氏は、「侵略者が兵員の大量移動に使う2つの橋のうち1つに、またしても強力な打撃を加えた」と述べた。

ヘルソン市の近くを流れるドニプロ川を渡れる地点は2カ所しかなく、ロシア軍は川の西側にいる部隊へ補給を届けるためアントニフスキー橋を多用していた。

ウクライナ側はこの地区のロシア軍を孤立させようと、橋への集中攻撃を続けていた。

へルソン州政府のセルヒイ・クラン顧問はウクライナのテレビに対して、ウクライナ軍の反攻は目標を達成しており、「ヘルソン州は確実に9月までに解放されると言える。占領者の計画はすべて失敗する」と述べた。

他方、イギリス国防省は27日の戦況分析で、ロシア民間軍事企業「ワグネル」が東部ドンバス地方で戦果を挙げ、ウクライナ軍が一部で後退していると明らかにした。

(英語記事 Ukraine war: Officials say work at grain ports resumes after deal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/62328994

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