2022年12月9日(金)

Wedge SPECIAL REPORT

2022年10月2日

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岩尾俊兵 (いわお・しゅんぺい)

慶應義塾大学商学部 准教授

1989年、佐賀県生まれ。慶應義塾大学商学部卒、東京大学大学院経済学研究科経営専攻修士課程修了、同科マネジメント専攻博士課程修了。慶應義塾大学商学部専任講師を経て現職。主著に『日本“式”経営の逆襲』(日本経済新聞出版)、『イノベーションを生む“改善”』(有斐閣)。

 「Wedge」2022年10月号に掲載されている特集「諦めない経営が企業をもっと強くする」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
アマゾンの実像に迫ったノンフィクション『amazon Unbound』の中国語版。ベゾス氏は世界的に注目される経営者だが、「カイゼン」をはじめとした日本の経営技術にも言及している (SOPAIMAGES/GETTYIMAGES)

 かつての日本経済は米国さえも凌駕し「Japan as No.1」とまでいわれた。1987年には日本の1人当たり名目国内総生産(GDP)は米国を抜き去り、88年にはスイスに次いで世界2位になった。その時期には、GDP総額も米国に次いで世界2位であった。

 しかし、その後の日本経済は、「失われた30年」と呼ばれるほどに落ち込んだ。その結果として、現在では日本企業の経営は全否定の様相だ。すなわち、日本企業の多くは、「米国を追随するために、あれもこれもやる」ことに躍起となり、「自らの強みを保持する」ことをしていない。これは明らかな戦略ミスである。

 そもそも、経営戦略の要諦は「何をするか」ではなく「何をしないか」を決めることだ。つまり、多くの日本企業が繰り返した「安易なリストラ」のようなことをするのではなく、自社の強み、リソースに目を向けることだ。

「日本の経営はすべて遅れている
はず」という思い込みの罠

 たとえば、製品の設計・製造においては中核部品を決定し、それ以外は外注に頼る。そして、中核部品を作る技術や組織能力は伸ばしていきつつ、戦略的にアウトソーシングを利用する。ならば、組織能力を生み出す企業独自の経営コンセプトも、中核的なコンセプトと借りもののコンセプトを分けるはずだろう(下図)。

現代の企業間競争の3層構造

(出所)各所資料を基に著者作成 写真を拡大

 しかし、この「当たり前」が、経営のやり方そのものである経営コンセプトレベルの層においてのみ、なぜか抜け落ちてしまっているのが今の日本企業の病理である。

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