最近になってやっと信じてくれる人が増えてきたが、日本のサラリーマンがもらう厚生年金は、夫婦で月23.6万円であり、世界一高い水準にある。 アメリカの年金は、1349㌦(12.1万円)、イギリスにいたっては524㍀(6.8万円)でしかない。もちろん、これには、現在の円高を反映して外国の年金が異常に低くなっているのだという批判があるだろう。しかし、1㌦=120円で換算しても、アメリカの年金は16.2万円である。日本の年金は世界一高い。
しかし、多くの人々は、これでも足りないという。私は、大企業の幹部の方々に、日本の年金が世界一高いという話をしたときに、それでも足りないと言われたことがある。大企業のサラリーマンが、現役時代と同じ生活をしようとしたら、もちろん現行の年金では足りない。しかし、年金とは、本来、社会保障制度であって、国家が、高齢者が誰でも、健康で文化的な最低限度の生活を送れるようにしているものだ。それ以上を求めるならば、自分で老後の生活を考えるべきである。
しかも、現行の年金は、現役世代が納めたお金を、退職世代が受け取る仕組みだ。退職世代が現役時代に納めたお金を、退職時になってもらっている訳ではない。年金の保険料率は、1960年には給与の3.5%、70年に6.2%だったのに、80年に10.6%、90年に14.3%、2008年に 15.35%、17年には18.3%まで上がることになっている(18.3%で固定される)。60年に40歳だった人は、3.5%の保険料しか納めていなかったのに、若い世代の14%以上の保険料からの年金をもらったわけだ。これは高齢世代が若年世代から過分のプレゼントをもらう不公平なシステムである。