2022年12月8日(木)

BBC News

2022年11月22日

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世界保健機関(WHO)は21日、ウクライナで今冬、数百万人が命を脅かされることになるとの見方を示した。

WHO欧州地域事務局のハンス・ヘンリ・クルーゲ局長は、ロシアの侵攻によりウクライナのエネルギーインフラの半分が損傷あるいは破壊され、現在1000万人以上が電力を失っていると述べた。

ウクライナの一部地域では、今冬の気温が摂氏マイナス20度にまで落ち込むと予想されている。

WHOは侵攻開始以来、医療インフラへの攻撃を703件記録している。

ロシア軍は先週、これまでで最も激しい空爆を実施。エネルギー施設や民間の建物をさらに攻撃した。

ロシアは9月にザポリッジャ州などウクライナの4州について一方的に併合を宣言したが、南部ヘルソン州を中心に押し戻された。こうした中、ロシア軍はウクライナの電力系を標的とした戦術をとっている。冬が近づくにつれて、その影響はより顕著になっている。

今冬を生き延びられるか

クルーゲ局長はウクライナの首都キーウで記者会見し、「端的に言うと、今年の冬は生き延びるかどうかが問題になる」と述べた。

局長はさらに、ウクライナの医療システムが「戦争が始まって以来、最も暗い日々に直面している」とし、この争いを終わらせることが最善の解決策だと付け加えた。

また、ロシア軍の攻撃により何百もの病院や医療施設が「もはやフル稼働できていない。最低限必要な燃料や水、電気が不足している」とした。

さらに、産科病棟には保育器が、血液バンクには冷蔵庫が、そして集中治療室には人工呼吸器が必要だとし、「そのすべてがエネルギーを必要とするものだ」と述べた。

WHOによると、最大で300万人が暖かく安全な場所を求めて、自宅から避難する可能性があるという。

クルーゲ氏は、東部ドネツクにいるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)患者1万7000人を「非常に心配している」、「生命維持に欠かせない抗レトロウイルス薬が、間もなく底をつくかもしれない」と語った。

ドネツクの大半の地域はロシア軍の支配下にある。クルーゲ氏は、「新たに奪還されたすべての地域や占領地域に医療用の人道回廊を設けるよう、緊急に要請する」とした。

新型コロナウイルス感染者の増加も懸念されている。

「ブースター接種は言うまでもなく、基本的なワクチン接種率が低いので、何百万人ものウクライナ人は新型ウイルスに対する免疫が薄れているか、免疫がまったくない状態にある」

WHOは、ウクライナ全土で降雪が観測され、気温が氷点下まで下がったことを受けて今回の警告を出した。

キーウでは歩道や誰もいない遊び場、公園のベンチに雪が積もっている。路上にはほとんど人影はない。

ウクライナの本格的な冬はこれからで、気温はさらに落ち込むとみられる。

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欧州最大の原発

欧州最大の原子力発電所で、ウクライナの電力の25%以上をまかなっていたサポリッジャ原発はもはや発電できなくなっている。

同原発では19日夜から20日朝にかけて新たな砲撃があった。

国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシ事務局長は同原発がまたもや「間一髪」の状況に見舞われたと、攻撃を非難した。

IAEAの専門家は21日に現場を視察し、広範な被害を確認した。ただ、原子力安全性とセキュリティに対する当面の懸念はないとしている。

ロシアとウクライナは、原発を攻撃したとして互いに非難し合っている。

南部で「拷問部屋」を発見

こうした中、ウクライナの検察当局は、ロシア軍の撤退後に南部ヘルソンで発見した4つの拷問部屋とされるものの詳細を明らかにした。

この場所からは警棒や銃弾、電気拷問装置が見つかったといい、市民が「残忍な拷問を受けていた」と検察は指摘している。

ウクライナは先週、ヘルソンで拷問の痕がある民間人の遺体63体が見つかったと明らかにした。BBCも、「拷問部屋」と呼ばれる場所に1カ月以上拘束されたという2人に話を聞いた。

ロシア側は虐待行為はないと否定している。

(英語記事 Millions of lives under threat in Ukraine - WHO

提供元:https://www.bbc.com/japanese/63712554

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