2024年12月22日(日)

Wedge REPORT

2013年6月20日

 「ASEANやインド、韓国、オーストラリアなどのアジア大洋州地域では2012年、自動車販売の全体市場が初めて1000万台を超えました。今後も大きな伸びが期待できます」。こう語るのは、同地域の統括会社アジアホンダモーター(本社・バンコク)広報担当の前原英人氏だ。

 なかでもホンダはASEANのタイやインドネシア、インドで大幅な生産能力拡大を計画している。現地のニーズに合った車を造ろうと、開発部門の現地化も急速に推進、日本の研究開発拠点で設計図を作成する「世界統一図面」から「現地最適図面」に切り替えている。これに合わせて、日系サプライヤーではなくコストの安い地場資本の部品メーカーから調達を増やしているほか、FTAを活用してインドからタイに安い部品を輸入している。

 燃費効率を高めるエンジン周辺部品である「ターボチャージャー」をタイで生産しているIHIもインドから一部材料を輸入している。

 日本の自動車産業はこれまで、インドとタイに莫大な投資をしてきたが、両国がFTAを結んだことを契機に補完関係を構築する動きが始まった。トヨタ自動車もタイトヨタの棚田京一社長が今年4月からインド事業を新たに担当するようになった。

 こうした状況を受け、自動車産業を主要顧客とするある物流会社幹部は「今後は日本─ASEAN─インド─アフリカまでを繋ぐ『動脈』を作る局面に突入している」と見る。

 その「動脈」の中継地点として成長が有望視されているのが、タイの首都バンコクから西に300キロに位置するミャンマー南東部のダウェーだ。交通の要衝として知られる。

ダウェー開発によって陸路でインド洋と太平洋が結ばれる
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 インド洋に面したダウェーは大型船が出入りできる深海港の建設に向いていることから、ここに東南アジア最大級の経済特区を設け、250万平方メートルもの巨大な臨海工業地帯を建設する構想が生まれている。


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