この作業により高精度の水管理が行えるようになりました。この後に種の播き床をつくる、ローラー掛けが行われます。幅5メートル・直径1メートル以上の鉄の円筒に、そろばん玉のように幅15センチ間隔に深さ10センチのV字の溝が刻まれています。
これをならした田んぼの中を引っぱり、幅15センチ・深さ10センチの溝(筋)を、水田一面に描きます。これで種播きの準備作業が完了し、水路から水を入れます。
水を15センチの深さに保ち、飛行機で種を播きます。カリフォルニアの水田では1ヘクタール当たり約150キロと日本の5倍の種を播きますが、1時間に20ヘクタールの面積に播くことができます。1ヘクタール当たり約3分間の作業時間です。もちろん飛行機作業には、種子を倉庫から滑走路まで運ぶトラック、トラックから飛行機に種子を積み込む装置と作業者が必要で、種播きチームとして動いています。水を張った田んぼに空から播かれた種は、土につけられた溝に入り、やがて稲が筋になって育っていくのが見えます。水田が緑に覆われるように稲が育って、カリフォルニアのコメ生産者も一安心します。
日本でもカリフォルニアでもコメつくりの春作業はこのように行われています。移植作業だけでも1時間当たり1.5ヘクタールの日本のコメつくりに対し、カリフォルニアの空からの種播き作業は1時間当たり20ヘクタールと、約12倍の作業を行います。
こうしてみると、稲の栽培方法の違いが毎年の作業可能面積の差を生み、同時に作業コストの差も生んでいることがわかります。大規模で低コストのコメつくりには農地の集積や機械の大型化も必要ですが、栽培方法の改善によって、短時間で多くのコメを生産する効率の良いコメつくりに取り組むことも重要なことです。
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