2024年7月15日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年7月30日

 4.フィリピンその他の地域の国々は、ASEANと日本も含めて、漁業についての、台湾を含む協定と外交的メカニズムを、二国間でも地域レベルでも目指すべきである。漁業問題は、地域において、海洋紛争の引き金となる。台湾を、水産資源管理に巻き込むべきである。

 5.台湾もまた柔軟でなければならない。台湾の孤立は、主として東南アジアの隣人のせいだが、将来、東南アジアの国々が、台湾との関係を変革しようと努力するならば、台湾は、台湾の孤立を破るために、メンツを保った妥協を受け入れるのが賢明であろう。

 台湾は、中国からの持続的な脅威に対する、米国による安全保障の受益者である。米国にとっては、台湾と近隣国との関係は、重要な関心事である。米国の外交官は、台湾とフィリピンの紛争から得られた教訓を、ASEANの友邦に伝えるべきである。米国は、台湾当局者の入国規制緩和、閣僚レベルの訪問の再開、米台FTAの推進あるいは台湾のTPP加盟奨励、そして台湾の空軍力の不足を満たすことで、親台湾の側に立った「一つの中国政策」を示すことも出来る。

 フィリピンと台湾が将来の海上での事件を防止する正式なメカニズムを追求することに難を示す国は、中国を除いてはほとんどないであろう。しかし、紛争の根源は、台湾の孤立である。東南アジアの国々は、台湾を“country” あるいは“nation”とは呼ばないかもしれないが、 何と呼ぼうが、台湾の存在は現実である。地域は、米国の励ましを得て、もっと構造的に台湾に対処する方法を見出さなければならない、と論じています。

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 台湾とフィリピンとの海上衝突事件に関して、フィリピン当局が自らの非を認めるような態度を示していることを、フィリピンの台湾への態度の変化として歓迎し、東南アジア諸国と台湾との関係の今後の改善を説いた論説です。

 ローマンは、もともと、自由民主国である台湾に同情的であり、そして、中国の勃興に対する戦略としての台湾の存在を重視する立場であり、その観点からの論文として、もとよりその趣旨には賛成です。

 今注目されるのは、次回のAPEC首脳会議です。台湾をAPECの正式メンバーと認めたことは、中国側として、中国外交の大失敗と考えているようで、従来、台湾の出席者は経済閣僚に限り、首脳の参加には反対してきましたが、今回は馬英九に対するサービスとして、馬の出席を認めるという憶測も流れています。それが実現すれば、ASEAN諸国と台湾との接触を広げるチャンスが広がるという意味で、その効果は諸刃の剣となり得ます。

 しかし、台湾の国際的孤立化は、中国が一貫して取って来た政策であり、米国も、クリントン大統領のスリーNOなどのように、ある程度はこれにつきあって来た経緯もあります。ローマンの期待する通りには、容易には動かないのが現実でしょう。

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