うつ病蔓延時代への処方箋

2013年8月29日

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うつと発達障害
異なる手の差し伸べ方

 ――社内や身近に発達障害の人、もしくは“それっぽい”人がいる場合の接し方がわかりません。基本的にはどのような考え方でいればいいのでしょうか。

鈴木:うつの人をサポートする場合は、私の感覚で言うと車の助手席に乗るようなイメージです。隣に座って話を聞いてあげる。共感し傾聴することです。ときには行先をナビゲートする。しかし、発達障害の人に同じことをしても効果はありません。あえて言えばGPSを設置するような作業まで。助手席に乗る必要はありません。気持ちの交換を過度にしてはいけない。こちらの気分を押し付けてもいけない。むしろ情報をキチンと整理して伝え、カーナビのように少し先の行動を指し示すのがいい。

 うつも発達障害も手をさしのべるのは同じです。ただ、発達障害の場合は情報と気持ちを整理してあげるのですが、気持ちに寄り添ってしまうのは逆効果になりがちです。やさしい人、いい人になるための行為は、ありがた迷惑の場合が多くなってしまいます。

 現在、発達障害の人を支援する事業を運営しており順調です。その要因は、社会の状況と発達障害者が置かれている状況をキチンと整理して伝えているから。その人が働いている職場を図にして視覚化し、次の行動を示しています。これは本来ならば、我々ではなく会社が行うべきことではないかと思います。

 ――Kaienではどのような事業を行っているのですか。

鈴木:成人の発達障害者に対し職業訓練、体験をしてもらっています。発達障害者版のキッザニアのようなことです。自分の凸凹をできるだけ意識できるようにする。客観的に自己を見ることが不得手で、自分の障害に気が付きにくいのが発達障害です。できるだけ上手に失敗させてあげることが必要です。このような職業訓練を軸に企業への人材紹介業、さらに子供向けのお仕事体験プログラムなども行っています。

 ――天才といわれる人は発達障害である、と聞きます。そのような人も見つけ出していくこともあるのですか。

鈴木:人類を発展させてきたのは、天才といえるような人たちであることは間違いありません。確かにそういった人たちは発達障害の傾向があったかもしれません。ただ、一時代に何人の人がいるのでしょうか。もし今、いれば社会が黙って見ているわけがありません。それよりも圧倒的多数の普通の発達障害者をできるだけ社会で活躍できるようにすることが私どもの使命です。そのためには、社会全体の仕組みを変えていかなければいけないでしょう。

[特集] 「心の病」にどう向き合うべきか?


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