「ねじれ国会」解消により今後成立する可能性が高まった法案がある。IR(統合型リゾート)推進法案、通称「カジノ法案」だ。産業競争力会議などで議論が進んでいる他、安倍首相はカジノを推進する超党派の国会議員による国際観光産業振興議員連盟(IR議連)の最高顧問を務める。いよいよカジノ解禁が現実味を帯びてきた状況だ。
カジノを議論する上で、外せないのが、遊技人口1260万人、市場規模18兆円を誇るパチンコ業界の存在である。カジノ解禁の暁には企業に運営を委託することになるが、現時点で国内に運営ノウハウをもつ企業は存在しない。比較的業態の近いパチンコ業界にとっては好機であり、実際幾つかの企業が動きを見せる。
マカオのカジノ。日本ではカジノ解禁へ向けパチンコ業界各社が様々な動きを見せる (提供・AP/アフロ)
シーガイア買収やマカオ企業への出資
パチンコメーカーを傘下にもつセガサミーホールディングスは複合施設運営のノウハウ習得のため、2012年に宮崎県の「シーガイア」運営企業を子会社化した。韓国パラダイスグループと仁川市エリアにおけるカジノを含む複合型リゾート施設の開発事業に関する合弁会社も設立したが、加えて安倍首相や国家公安委員長と会合を重ねるなど、ロビー活動も活発化させてきた。
メーカー主体の同社だが、スロット機の納入でなく、オペレーターの座を狙っている。カジノでのスロット機納入は多くて1000台。ヒットすれば10万台販売できるパチンコホール向けとは比較にならない。
パチンコホール運営企業では、12年香港証券取引所へホール運営企業として世界初の上場を果たしたダイナムジャパンホールディングスの動きが目立つ。100%子会社のダイナム香港は、マカオでカジノ施設を保有するマカオ・レジェンド社に出資し、カジノ事業のノウハウ吸収を図っている。