2024年12月19日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月9日

 いずれの場合でも、日本はデフォルトの危機に追い込まれ、TPP交渉が駄目になることはもちろん、ユーロ危機をはるかに上回る世界的に重大な結果をもたらすであろう。日本は、経済的に窮地に立たされれば、有害なナショナリズムを持って内向きになり、米国のアジア戦略を破壊してしまうかもしれない、と論じています。

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 アベノミクスと日本のTPP参加による日本のカムバックが、日本、ひいてはアジアにおけるアメリカの影響力の維持増大に与えるプラスの影響に期待し、アベノミクスの成功のために米国はこれを支持すべきであると説いた論説です。

 中国の影響力が圧倒的に経済に依存するという判断は的確です。それは韓国についても、豪州についても、台湾についても当てはまります。日本の経済的復活が無ければ、アジアは米国から益々離れ、中国の経済的・戦略的軌道に飲み込まれてしまうであろう」という心配も、その通りでしょう。

 そして「日本のTPP交渉への参加は、米国のアジアにおける戦略的パワーを長期間持続可能にさせる」という判断も、日本を勇気づけてくれます。さらに、農業について、長時間かけての関税の漸減が許されるべきである、とまで言って、日本をTPPに留まらせるために同情的な態度を示しているのは、特筆すべきでしょう。

 安倍政権に対する米国の期待は高いものがあります。それは、過去長い間、日本関係のニュースなどほとんど無視されていた、米国の言論、報道界における、日本関係記事の急増にも顕著に表れています。

 アメリカ人は、ことの成否にかかわらず、前向きで新しいフロンティアを拓いて行こうという精神に賛同します。円安が米経済に悪影響を与えようと、そんなことはあまり問題にしません。日本が20年ぶりに新しいフロンティアを求めて邁進しているということ自体が、賞賛と支持に価するのです。安倍政権がアベノミクスとTPPを進めることは、それ自体日本の国益を増進するのはもちろんのこと、アメリカ人の賛同と共感を得る源泉にもなるのです。

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