2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月26日

 習近平の左派的、硬直的な姿勢は、本年春の全人代における演説、そして、その後訪米に向かっての「二つの大国論」において、既に表れていました。

 全人代における「中国の夢」は、表現としては斬新な印象を与えましたが、内容は、富国強兵と社会主義堅持であり、自由主義、民主主義を断固拒否する姿勢でした。ネクタイ無しの米中首脳会談で推進した「二つの大国論」は、中国が世界二大大国の一つとなることを米国に認めさせようということでした。

 スタイルだけは、斬新な印象を与え、内容は一歩も譲らないという点だけでも、習近平が、端倪すべからざる人物であることが解ります。

 この中国の態度は今後とも一貫しているだろうと予測されます。薄熙来の裁判についてのネット上の言説では、汚職・腐敗を論じることは許されても、毛沢東主義鼓吹批判は検閲されているようです。

 問題は、今後オバマ政権が、中国の現実に即して、人権問題、チベット・ウイグル問題、そして中国の急速な軍備拡張などを正面から取り上げる気があるかどうかです。

 当面の見通しとしては、それはあまり期待できないのでしょう。おそらくは、パレスチナ問題、イラン問題、あるいは、急を告げているシリア、エジプトなどの中東問題にもっぱら注意を向けて、東アジア問題は敬して遠ざける態度を取るのではないかと思います。 

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