2024年7月12日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年9月26日

 改革派は、習近平のこのような強硬路線に失望している。彼らは、当初、習近平は、長く停滞していた政治改革を推進してくれるのではないかと期待した。ところが、習近平は、より保守的で、伝統的な左派の立場を取るようになった。そして毛沢東主義を擁護するように、毛沢東がかつて1950年代に党の立て直しに着手した歴史的場所を訪問した。

 このような習の運動は、幾つかのリスクも伴う。彼自身、指摘しているように、減速している経済は、より市場主導型の新たな機会を必要とするが、それには、国家の影響力を弱めなければならない。

 中国の政界の中では、より西側に近い経済改革を推奨する者は、法の支配やより開放された政治制度の推進者でもあるが、一方、伝統重視派は、経済でも政治でも、より多くの国家による管理を望む。

 このような意見の対立は、習近平にとっても良いことではない。失望し不満に思っているリベラル改革派の中には、起業家や知的階層も含まれる。こうなると、党が意図する政治の安定さえ守れなくなるかもしれない、と言われる。

 文書第9号の発出以来、共産党系の機関紙には、論評や記事が溢れるようになった。多くは、近年では見られなくなった毛沢東の階級闘争を想起させるものだ。中には、立憲主義やそれに準ずる概念は、ソ連を崩壊させたような西側の策略で、中国も今そのような脅威に直面している、と述べたものもある。

 しかし、元気づいた左派も、習政権にとっては問題である。習近平は、市場原理を拡大して、経済改革を推進したいと思っているが、党内のマルクス主義者たちは反対している。
習近平は、今年末、毛沢東の生誕120周年を機会に、そのイデオロギーが試される、と述べています。

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 中国共産党のジレンマが窺える解説記事です。ソ連時代、共産党は、平等を国民に与える代わりに自由を束縛してきました。中国共産党は、経済成長を与える代わりに自由を束縛してきました。では、今、経済成長が鈍化してきた中国はどうしたら良いのでしょうか。経済成長を持続させるためには、習政権は、経済改革を進めなければなりませんが、それには、ある程度の民主化も必要とされます。ただ、民主化を推し進めれば、いずれ共産主義は崩壊せざるを得ないでしょう。それを回避するために、毛沢東主義への回帰が出てきたのでしょうが、これだけ資本主義が進み、これだけ情報社会が高度化した現在、この政策を維持するのは困難かもしれません。


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