65歳以上の20%が認知症になる?
とはいえ、認知症について私は詳しいわけではない。
年齢を重ねるとなりやすいことや、女性の患者数の方が男性よりも多いなど、一般的に知られている程度の認識があるだけだ。むしろ、テーマが大き過ぎるので、目をそらしてきた面すらもある。
そこで、認知症に関するデータをまずは見ておくことにした。
厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者のうち、認知症を発症している人は2012年の段階で推計15%、人数にすると約462万人。
そしてこの数が、再来年の2025年には700万人を超えると推計されており、パーセンテージでは20%(正確に言うと、20%と推計した場合の人数が700万人)。
これは、2012年と比べるとなんと1・5倍もの人数だ……多い!
また、認知症には、健常者との中間にあたる「グレーゾーン」の段階があり、「軽度認知障害=MCI(Mild▽Cognitive▽Impairment)」と言われている。
軽度認知障害(MCI)は、記憶力、言語能力、判断力、計算力、遂行力などの認知機能に多少の問題が生じていることが確認できるものの、日常生活には支障がない状態を言い、2018年、つまり今から5年前の時点で、認知症とMCI患者を合わせた数は、約862万人だという(厚労省データより)。
そして2025年……つまり今から1年と少しあとには合計1,300万人となり、「65歳以上の3人に1人が認知症患者とその予備群になる」とも推計されているのだ(日本認知症協会データより)。
なんとも凄いボリュームである。
こうなると、自分の身内だけに「なってほしくない」などというのは、わがままなのかとすら思えてくる。が、逆に言うと、「私の身内だけでなく、おおぜいがならないようにすればいい」わけで、私はそのためにも自分が知りえた情報を広く拡散しようと考えている。この連載もその一つだ。
ちなみに、軽度認知障害(MCI)患者は、年間、その10~30%が認知症に進行する一方で、正常なレベルに回復する人もおり、「38.5%が、5年後に正常化した」という報告もあるという(厚労省老健局令和元年報告資料より)。
つまり、軽度の段階で認知機能の低下にいち早く気づいて対策を行えば、別の未来を生み出す可能性が生まれてくるということだ。
認知症対策に有効なこととは?
では、どの段階でどんなことをすれば認知症対策になるのか?
私の場合は、母に行ってほしいわけだから、「どうすればそれを(自分以外の)人にやってもらうことができるのか」、さらに「そもそも母世代の興味関心はどんなものなのか」なども合わせて知っておきたいところだ。
そこで、次回以降は様々な現場に足を運んで、少しでも可能性のあるトピックスを探していきたいと思う。