今回のトルコ進出においても、パートナー選びが奏功した。パスポートや免許証の認証システムを手がけるトルコの地場企業であるプロライン社と提携。同社は、トルコの病院グループなど、受注が予想される事業者に太いパイプを持っており、6月末の事業開始以降、順調に出荷を伸ばしている。
大手企業であれば販売まで含めて全て自前で行うが、「特に新興国の場合、地場企業とパートナーを組むと、現地に付加価値が落ちるので歓迎される」という。これもソニーからスピンアウトしたことの効用の一つだ。
日本の家電メーカーが復活するヒントになる
ソニーが非接触IC技術「フェリカ」を開発すると、JR東日本のスイカをはじめとして多方面に使用された。しかし、普及してしまえば買い替えの需要くらいしかなく、恒常的に売上を立てていくことが難しい。モフィリアの場合も同様に、売り切りではないビジネスモデルをどうやって確立するかが課題である。
一方で、小さな所帯だからこそ、売上が小さくても会社を回していくことが可能なのである。大組織のなかで埋もれたままでいるより、むしろマシだといえる。こうした技術は日本の家電メーカーのなかには、沢山あるはずで、上手くスピンアウトさせていけば、国内市場の活性化にもつながる。
モフィリア(mofiria)の「M」はモバイルの頭文字。天貝さんにはソニー時代からの腹案がある。小型モバイル端末向けに静脈認証を搭載するべく、天貝さんは今、パートナー探しに動いているという。名実ともに個人と一体化するスマホが誕生する日もそう遠くはないかもしれない。
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