2024年5月2日(木)

BBC News

2024年4月19日

米ニューヨーク市のコロンビア大学で、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区での軍事行動に反対する親パレスチナの学生らが抗議デモを繰り広げた行った。18日には警官隊がテントなどの排除に乗り出し、学生100人以上を逮捕した。

イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争が昨年10月に始まって以降、米国内のさまざまな大学で抗議デモが発生している。

コロンビア大ではデモ参加者らが17日、約50張のテントでキャンパス内に野営場所を設営。一晩で学生ら数百人が結集した。

イスラエルを批判するイルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州)の娘や、11月の大統領選挙に無所属で立候補を表明しているコーネル・ウェストさんなども加わった。

警察は同大のデモで108人を不法侵入の疑いなどで逮捕した。

ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は18日の記者会見で、100人以上が大学の規則に違反して30時間超、キャンパスの芝生部分を占拠していたと説明した。

学生新聞「コロンビア・スペクテイター」によると、警官隊が同大の敷地内に突入して多数を逮捕したのは、1968年のヴェトナム戦争への抗議デモ以降で初めてだという。

ネマト・シャフィク学長は18日に教授らに声明を送信。ニューヨーク市警に野営場所の排除を許可した自身の決定について、「決して必要にならない」ことを望んでいたとした。

そして、「野営場所を設営した人々は、いくつもの規則や方針に違反した」、「大学は直接対話や書面で、そうした違反について重ねて通告した」と説明。

「事態解決の試みがすべて、関係する学生たちに拒絶された」のは残念だとした。また、安全な環境を提供するために「異例の措置」が必要だったと主張した。

シャフィク学長は前日の17日、反ユダヤ主義について連邦下院で証言していた。警察当局は同日、大学周辺での抗議行動に介入した。

こうしたなか、連邦議会で強くイスラエルを批判しているオマル下院議員の娘で、コロンビア大傘下の女子大バーナード・カレッジに通うイスラ・ヒルシさん(21)が、「集団虐殺に直面しているパレスチナ人と連帯している」との理由で停学処分を受けたとX(旧ツイッター)に投稿した。ヒルシさんは入学してからの3年間、一度も処分されたことがなかったという。

バーナード・カレッジは、「学生の行動をめぐる手続きに関する秘密情報は提供しない」とBBCに説明した。

同カレッジの学生自治会は、停学処分を「不法」とし、「学術機関の神聖さと、開かれた対話の促進という目的」の侵害に当たるとする声明を出した。

コロンビア大では、少なくとも1人の教員が抗議行動への支持を公に表明している。

古典文学などを教えるジョセフ・ハウリー准教授は、「今日の大学の対応は、学生たちが何に抗議しているのかよりも、どのように抗議しているのかに関するものだと、ここ数カ月で私がもっと確信を持てるようになっていればよかったのだが」と学生紙スペクテイターに話した。

親パレスチナの抗議デモは、米各地で主要道路を封鎖するなどの形で起きている。コロンビア大での抗議デモの数日前には、シカゴのオヘア国際空港、シアトル・タコマ国際空港、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジ、ニューヨークのブルックリン・ブリッジなどへのアクセスが制限された。

(英語記事 Columbia University: Ilhan Omar's daughter suspended and 108 arrested for Gaza protest

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c51nrnnxn5mo


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