2024年5月22日(水)

BBC News

2024年4月22日

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は21日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区での人権侵害疑惑をめぐり、アメリカがイスラエル軍部隊に制裁を科す計画だとの報道を受け、いかなる制裁も拒否すると誓った。

米ニュースサイト「アクシオス」は20日、イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区でのパレスチナ人に対する人権侵害疑惑をめぐり、アメリカがイスラエル国防軍(IDF)のネツァ・イェフダ大隊への援助を削減する計画だと報じた。

アントニー・ブリンケン米国務長官は先週、IDFへの援助削減の可能性があるとの報道について質問された際、「私はすでに決めている。その内容は、数日中にわかるはずだ」と述べていた。

イスラエルの主要同盟国アメリカはこれまで、IDF部隊への援助を停止したことはない。

ネタニヤフ首相は21日、「IDFの部隊に制裁を科すことができできるなどと考える者がいるなら、私は全力で闘う」と述べた。

IDFは、ネツァ・イェフダ大隊は国際法に従って行動しているとした。

「(ネツァ・イェフダ)大隊に対する制裁に関する報道を受け、IDFはこうした問題(人権侵害疑惑)を承知していないことを申し上げておく」とIDFは主張したと、ロイター通信は伝えた。「IDFはいかなる異例な出来事にも現実的な方法で法律に従って調査するよう努めており、今後もその取り組みを続けていく」。

イスラエルのヨアヴ・ガラント国防相は声明でアメリカに対し、ネツァ・イェフダ大隊への制裁意図を撤回するよう呼びかけた。アメリカとイスラエルの関係を世界が注視しているとして、「ひとつの大隊をまるごと非難するのは、IDFの行動に暗い影を落とす」もので、「パートナーや友人同士にとって、正しい道ではない」と国防相は述べた。

人権侵害疑惑

アクシオスは20日、この問題に詳しい米情報筋3人の話を引用し、ブリンケン氏が数日以内にネツァ・イェフダ大隊に対する措置を発表する見通しだと報じた。

それによると、この動きはヨルダン川西岸地区での複数の人権侵害疑惑をめぐるもの。2022年1月にパレスチナ系アメリカ人のオマル・アサド氏(80)が同地区での捜索中にイスラエル兵に縛られて猿ぐつわをされ、その後に死亡した出来事も含まれるという。

アメリカは当時、この件に関して「徹底的な犯罪捜査と完全な説明責任」を果たすよう求めた。

IDFは後に、アサド氏の死を遺憾に思うとし、ネツァ・イェフダ大隊の司令官を「けん責処分」とするとした。また、兵士2人については2年間、上級職に就くことが禁止されるが起訴はされないと付け加えた。アサド氏は持病が原因で死亡したとした。

アサド氏の遺族はこの事案を終結させる決定を非難した。遺族の多くはアメリカを拠点に生活している。

これらの侵害行為疑惑は、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルに侵入し攻撃を仕掛けた昨年10月7日より前に起きたもの。

IDFの部隊を米軍の支援から締め出す決定は、1997年にパトリック・レイヒー上院議員(当時、民主党)が提唱した「レイヒー法」に基づいて下される。同法は、重大な人権侵害に関与しているとされる外国の軍隊に対してアメリカの資金援助や訓練が提供されるのを防ぐもの。

「イスラエル・レイヒー審査フォーラム」として知られる米政府関係者のグループは昨年、ネツァ・イェフダ大隊を含むIDF部隊に対する少なくとも12件の申し立てについて調査を行ったと、米政府の元高官はBBCに語った。

「私たちは、ほとんどの場合、これらの問題が改善されていない、言い換えれば、加害者が適切に責任を問われていないと考えていた」。アメリカの武器移転を監督する 国務省政治軍事局の責任者だった、ジョシュ・ポール氏はこう述べた。

「これらの勧告を国務長官に伝えようとしても、政治レベルを一度も通過させられなかった」と、ポール氏は付け加えた。

ポール氏は昨年11月、イスラエルへの武器移転をめぐる説明責任の欠如に抗議して辞職した。ポール氏が言及した勧告がその後、ブリンケン国務長官のもとにまで届いたのかどうか問われると、同氏は長官にまで届いたことを最近の報道が示唆していると述べた。

1999年に設立されたネツァ・イェフダ大隊は、超正統派ユダヤ教徒の男性のみで構成される。

米国務省は19日、イスラエルの極右活動家ベン・ツィオン・ゴプシュティーン氏に制裁を科した。同省はゴプシュティーン氏の組織レハヴァが「不安定化行為に関与し、ヨルダン川西岸地区に影響を及ぼす暴力行為を行っている」と説明した。

(英語記事 US-Israel: Netanyahu to reject any sanctions on army units

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cgxw3eg41ypo


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